来局時33歳 医学的な不妊の原因:多囊胞性卵巣症候群(PCOS)
1人目を希望し4ヶ月
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法2ヶ月

漢方による原因分析)
○冷え、腰痛、首筋のこり、日中排尿10回、多囊胞性卵巣症候群(PCOS)、基礎体温、脈尺弱、舌無苔などから腎虚
○肩こり、暗紅舌、舌下静脈怒張、基礎体温などから瘀血

方針)病院治療を続けながら体づくりを希望。補腎化瘀で質の良い卵を育てる力をつけていく。

改善結果)
煎じ薬で芎帰調血飲加桂枝・白芍・鶏血籐と亀板膠製品を組み合わせて開始。病院ではクロミッドでタイミングの予定。
2~6ヶ月目、漢方薬は亀板膠製品から牡蠣肉製品へ変更して、煎じ薬は滑脈と体温が高いまま生理が始まることから竜胆瀉肝湯加丹参・女貞子など調整していく。病院では、タイミングを続け、ステップアップして人工授精を2回する。
7ヶ月目、舌薄苔、脈有力に改善される。牡蠣肉製品と杞菊地黄丸料加丹参・女貞子・香附子・続断・赤芍に変更。体外受精にステップアップし、ショート法にて11個採卵。それぞれ体外受精と顕微授精し、グレード1の新鮮胚を移植。胚盤胞4個凍結。
8ヶ月目、安胎、もし上手くいかなくても次の周期での移植を考え、牡蠣肉製品と当帰散料合香蘇散料加党参・丹参・続断に変更。妊娠陽性反応、胎嚢・心拍確認。

不妊治療を長く続けて妊娠できないということで来局される方が多い中、早い段階で不妊治療効果を上げたいということで来られました。出来るだけ早く妊娠したいということで、ステップアップを早めに決断され、1回目の体外受精で妊娠されました。33歳の体外受精の妊娠率は38.5%(参考:データから考える不妊症・不育症治療,メジカルビュー社)だが、相談者は1回の移植で妊娠できたことから、漢方薬で舌や脈などの漢方的な異常所見が改善されることが、体外受精の妊娠率改善に効果があるのではと考えられます。