来局時36歳 医学的な不妊の原因:子宮内膜症、チョコレート嚢胞、潜在性高プロラクチン血症
 1人目を希望し3年
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法12ヶ月、人工授精2回、顕微授精1回

漢方による原因分析)
○夜のトイレ、足のむくみ、腰痛、首筋のこり、髪の質感、採卵の個数などから腎虚
○子宮内膜症、肩こり、ひどい生理痛、経血の塊、舌、脈などから瘀血

方針)活血化瘀、補腎充精

改善結果)
2種類漢方薬製品を4ヶ月服用。体調変化が乏しくやや血虚があるため養血調経の漢方薬製品を1種追加。
8ヶ月目で生理痛がほとんどなくなる。その後も漢方薬を続けながら、タイミング療法や人工授精を継続するも妊娠しないため一旦治療を中止し漢方薬のみ継続。
その後、治療をステップアップして体外(顕微)受精することに。煎じ薬(種子方加減)と亀板・鼈甲製品を2ヶ月続けてから採卵。
採卵数 前回(漢方薬開始以前)2個⇒今回13個に増え、うち受精卵10個。グレードの良い受精卵複数ができた。
4個を凍結。2個を新鮮胚移植⇒陰性。
凍結胚移植にむけた子宮内環境づくりに取り組むため、煎じ薬は三稜・莪朮の破血薬を使用し、亀板・鼈甲製品を増量。移植2週間前~移植日までは破血の水蛭製品を追加。また、補腎を亀板・鼈甲製品から温腎の紫河車製品に変更し、1回目の凍結胚移植⇒陰性。
中国では、胚移植の反復失敗例は子宮内膜の感受性低下があると考えて益腎気通胞脈の二補助育湯を使って治療するので、これを参考に10味の生薬を選んだ煎じ薬と亀板・鼈甲製品を継続。(二補助育湯の組成は補骨脂・葛根・升麻・巴戟天・桑寄生・続断・牛膝・何首烏・鶏血籐・鬱金)
調整しながら4ヶ月継続し、2回目の凍結胚移植⇒陽性。後に胎嚢確認。
安胎処方に切り替える。

目標達成まで28ヶ月かかりました。来局する前から合わせると不妊期間は5年4ヶ月です。諦めずに頑張ってきた結果がでて本当に良かったです。これまでで最長期間の妊娠例で、私自身も改善できる方法はないか中医学の書籍を読みあさり成長させて頂きました。今後はこの方と同じような胚移植の反復失敗例に二補助育湯を追試して効果を検討したいと思います。