不妊期間1年、卵管閉塞、AMH低、漢方と体外受精で妊娠 34歳
来局時34歳 医学的な不妊の原因:両卵管閉塞、AMH0.99ng/ml
1人目を希望し1年
○来局時の不妊治療歴:なし
漢方による原因分析)
○お腹の冷え、足のむくみ、難聴、低いAMH、基礎体温などから腎虚
○卵管閉塞、軽い生理痛、経血の塊、舌、基礎体温などから瘀血
○手足の汗、イライラしやすい、舌、脈から肝鬱
方針)漢方で体づくりをしてから体外受精をする計画。活血化瘀、補腎充精、疏肝理気。
改善結果)
芎帰調血飲加青皮白芍の煎じ薬、亀板膠製品、水蛭製品を服用開始1ヶ月目で生理痛が改善。
2ヶ月目は、煎じ薬は破気薬など減らし肉従蓉などを加え、水蛭製品を中止し亀板膠を倍量に変更。
翌周期で採卵。5個受精卵ができうち分割が進んだのは2個。1個はその周期で新鮮胚移植したが着床せず。残りの1個は胚盤胞まで分割し凍結する。
移植に向けての体を整えるため、補陽のため桂皮などを追加し動物生薬を鹿茸製品に変更。更に効果を上げるためスクワレン製品を追加。2ヶ月後に凍結胚移植⇒妊娠反応陽性。その後胎嚢確認し、安胎処方に切り替える。
AMHが低いため(40代の数値)、体外受精は採卵個数を増やすより質の良い卵が採れることを目標としました。
採卵個数は予想より多かったのですが、新鮮胚移植では残念な結果でした。その後の凍結胚移植は漢方薬で体を整えて臨み、無事妊娠できました。
この相談者のように採卵スケジュールがすでに決まっていて短期間で体を整えたい時は、通常より多めに漢方薬を使った方が良いと感じます。中医学理論では補腎活血がベースですが、病院の治療の効果を高めるために、体質によって使う生薬を加減する事が大切です。瘀血の場所による活血薬の使いわけ、疏肝薬の使う時期、治療周期による補腎薬の種類や量の使い分けが適正だったのだと思います。再現性を高めるため追試していきます。