漢方相談事例:多嚢胞性卵巣症候群など複数の不妊原因を抱え、自然妊娠へ

来局時の状況

28歳の女性の方で、一人目を希望して1年間、タイミング療法を2ヶ月試されていました。

医学的な診断:

  • 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
  • 黄体機能不全
  • 高プロラクチン血症

漢方的な見立て:

  • 腎虚: 足の冷え、むくみ、腰痛、生理周期の遅れ、無月経の経験などから、腎の機能が低下している状態と判断しました。
  • 瘀血: 頭痛、末端の冷え、経血の塊、イライラ感、卵管狭窄、生理痛などから、血の流れが悪く、瘀血(おけつ)が体内に滞っている状態と判断しました。
  • 脾虚: 口内炎、舌の状態などから、脾の働きが弱まっている状態と判断しました。

治療経過と変化

初期段階

  • 養血化瘀、健脾補腎: 芎帰調血飲湯をベースに、腎を補い妊娠力を高める亀板膠・鼈甲膠などを加え、血の巡りを良くし、脾の働きを補う処方を処方しました。
  • 1ヶ月後: 体が温まるなど、体質改善の兆しが見られました。

中期段階

  • 転勤によるストレス: 環境の変化により、生理が来ないなど、体調が不安定になりました。
  • 折衝飲: ストレスによる肝の鬱滞と瘀血を改善するため、折衝飲をベースに、疏肝、理気活血の薬を加え、処方を変更しました。

後期段階

  • 基礎体温が二層化: 生理周期が安定し、妊娠の可能性が高まりました。
  • 症状の改善: 生理痛の軽減、ニキビや吐気の改善が見られました。
  • 自然妊娠: 10ヶ月目に自然妊娠し、心拍確認に至りました。

治療のポイント

  • 複数の体質に合わせた処方: PCOS、黄体機能不妊、高プロラクチン血症など、複数の不妊の原因に対して、腎虚、瘀血、脾虚というそれぞれの体質に合わせた漢方薬を処方しました。
  • 体質の変化に合わせた処方変更: 転勤によるストレスなど、体質の変化に合わせて、柔軟に処方を変更しました。
  • 根気強い治療: 妊娠するまでには時間がかかりましたが、根気強く治療を続けた結果、自然妊娠に繋がりました。

まとめ

このケースでは、複数の不妊の原因を抱えていた方が、漢方治療によって体質改善を行い、自然妊娠に至りました。漢方治療は、西洋医学では治療が難しい不妊症に対して、体全体のバランスを整えることで、妊娠力を高める効果が期待できます。