不妊の原因は男女半々です

2017年のWHO(世界保健機関)の報告では、男性不妊が24%、男女両方の不妊が24%、つまり不妊の約半数に当たる48%が男性側に何かしらの原因があることがわかっています。
また、日本の体外受精件数は圧倒的多さで世界第1位ですが、1回の採卵あたりの出産率は世界最下位です。なぜ日本の不妊治療の成績が低いのか。原因の1つには、「精子の異常」に対する認識が低いということが考えられます。日本では長い間、一般的に不妊原因は女性側にあると思われてきました。しかし実は約半数を男性側が占めることが分かってきて、最近になってようやく「精子の質が重要である」ということが注目されるようになってきました。

男性不妊の原因

2016年の全国調査の結果では、

造精機能障害(精子形成障害):精子がたくさん作れない 82.4%
精路通過障害:精子が通れない・でてこない 3.9%
性機能障害:性行為ができない 13.5% 

となっています。原因としては、先天的なものと後天的なものがあります。先天的な原因は、さまざまな遺伝的要因や、発育段階で受けた影響等で、機能不全になってしまうものです。後天的な原因は、ストレスや飲酒、喫煙、肥満、糖尿病など病気、薬剤の影響、精巣の損傷や機能障害、射精の問題、加齢などさまざまです。

精子の濃度・運動率に問題がある

男性不妊の大半は、精子をつくる機能に問題があるとされる造精機能障害(精子形成障害)です。
精子をつくり出す機能自体に問題があり、精子をうまくつくれない状態です。男性の不妊症に対しては、有効な西洋医学的治療法が確立されていません。
病院から「八味地黄丸」や「補中益気湯」などの漢方薬を処方されている場合もありますが、ほとんどの方は効果を実感していません。

これまでの経験から、漢方は男性不妊と相性が良いと思います。しっかりと効果の高い生薬、特に動物性生薬は比較的短い期間で数値を改善できる場合が多いと思います。(だたし動物性生薬は保険適応がなく病院では処方することができません)
男性の場合は女性の妊娠のメカニズムほど複雑ではないので、精子濃度・運動率を改善したいということであれば、漢方薬にかかる費用は女性に比べ少なめです。

精液検査では分からない精子のDNA損傷とは?

造精機能障害(精子形成障害)の場合、単に精子数や運動率が低下するだけではなく、ほとんどの場合に「精子の質」の低下を伴います。精子の質とは受精能力やDNA損傷率を指します。
日に何千万〜何億個も作成される精子細胞は、全てが完全なものというわけではありません。特に精子頭部のDNAに損傷を負っている場合が多くあります。精子数や運動率が正常範囲内であってもDNAが損傷している場合があるので、精液検査だけでは精子の受精能力やDNA損傷率は分かりません。

漢方薬の男性不妊へのアプローチは、精液検査の数値の改善はもちろんですが、体の状態を整えて機能を高めていくことで、精子の受精能力やDNA損傷率といった精液検査だけでは分からない男性不妊に対しても改善を期待できます。