患者背景

  • 年齢:40歳
  • 主訴:2人目妊娠希望
  • 既往歴:1人目体外受精出産、子宮内癒着
  • 現病歴:初産後より牡蠣肉製品と当帰阿膠製剤を継続摂取

治療経過

  • 初診:凍結胚盤胞移植を予定しており、漢方治療による体質改善を希望。
  • 1~5診目:牡蠣肉製品、当帰阿膠製剤、冠心Ⅱ号方を併用。子宮内癒着剥離術施行。凍結胚移植後、胎嚢確認、心拍確認。
  • 6~8診目:少量出血を認め、牡蠣肉製品と当帰阿膠製剤を継続。
  • 9診目:妊娠12週。下痢と茶オリを認め、牡蠣肉製品と帰脾丸製剤に変更。同処方出産まで継続。元気な女児を出産されました。

漢方治療

妊娠・出産・授乳は腎精や気血を消耗させると考えられる。本症例では、初産後より牡蠣肉製品と当帰阿膠製剤を継続摂取していたが、更なる補腎・養血・活血を目的とした。

  • 処方
    • 初期:牡蠣肉製品、当帰阿膠製剤、冠心Ⅱ号方
    • 中期以降:牡蠣肉製品、当帰阿膠製剤
    • 妊娠12週以降:牡蠣肉製品、帰脾丸製剤

考察

本症例では、漢方治療を併用することで、40歳という年齢にも関わらず、1回の移植で妊娠に至った。これは、漢方治療により、妊娠・出産・授乳で消耗された腎精や気血を補い、子宮内環境を改善した結果と考えられ、漢方治療が体外受精における妊娠率向上に貢献する可能性を示唆するものである。(薬剤師、国際中医師:田之上晃)

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