来局時39歳 医学的な不妊の原因:なし 
妊娠を希望し1年 
○来局時の不妊治療歴:なし 

漢方による原因分析)
○白髪が多い、いくら寝ても眠いなどから腎虚
○経血の塊、イライラ、排卵痛、良く夢を見て熟睡感がない、さかむけ、生理量が少ないなど、血虚からの気滞瘀血
○胃痛・胃もたれ、体がだるい、便の回数が多く軟便または下痢から脾虚
方針)不妊治療を始める予定だが、ストレスが多く、胃腸の調子が悪く、便の回数が多く下痢気味、倦怠感、睡眠が悪いなど不調が多いので、体調を整え、治療効果を高める。

改善結果)
1ヶ月目、牡蠣肉製品と逍遙顆粒を開始。
2ヶ月目、体のだるさが軽減。仕事のストレスが多く、胃痛・軟便は続いている(仕事の日に悪化する)。卵管造影検査は問題なし。
3ヶ月目、体のだるさが軽減。経血の塊が減少った。睡眠は、寝付きは良くなったが、夜中に数回目が覚め、日中眠くなる。生理前のイライラやストレスがあり。漢方薬は、牡蠣肉製品は継続、逍遙顆粒を減量し川芎茶調散を追加。気のめぐりが悪いので、仕事が休みの日は明るい時間にウォーキングをしてもらう。
4ヶ月目、仕事の日の軟便の回数が少し減ってきた。同処方を継続しながら人工授精1回目⇒陽性反応。その後、胎嚢・心拍確認。
5ヶ月目、胃痛や軟便の回数減っている。妊娠9週、ややつわりがあるものの経過順調で不妊治療専門クリニックを卒業。

考察)
35~39歳での人工受精1回目の妊娠率は5~6%です。(※) 
人工授精を数回試してダメなら体外受精をするという予定でしたが、治療開始前に漢方で3ヶ月体を整え、4ヶ月目、1回目の人工授精で赤ちゃんを授かることができました。
相談者は、お知り合いからの紹介で来局され、ご紹介者の方も私が不妊相談で担当させていただいた方です。ご紹介者くださった方も漢方薬で授かっているので、自分も体を整えて、できれば体外受精はしないで授かりたいと希望されていたので、希望が叶い良かったです。

(※)参照:日本産婦人科学会 産婦人科ゼミナール 栗林先生・杉山先生の開業医のための不妊ワンポイントレッスン 10.人工授精(AIH:Artificial Insemination with Husband’s semen) 
(薬剤師:田之上顕子)