不妊期間1年1ヶ月 漢方と体外受精・顕微授精で妊娠 34歳
来局時34歳 医学的な不妊の原因:なし
2人目を希望し1年1ヶ月
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法7ヶ月、人工授精4回
漢方による原因分析)
○足の冷え、足のむくみ、疲れやすい、経血量少ない、肌の乾燥、口渇、便秘、寝汗、舌苔無、基礎体温などから腎虚(陰>陽)
○冬の手先の冷え、経血の塊、生理前のイライラ、舌、基礎体温などから瘀血
方針)漢方で体づくりをしてから体外受精をする計画。活血化瘀、補腎充精、午前中胃もたれや舌苔無のため健脾と一人目の時は高プロラクチン血症のためカバサールで自然妊娠したとのことなので疏肝も少し足す。
改善結果)
芎帰調血飲加白芍竜眼肉人参鶏血籐の煎じ薬、牡蠣肉製品を服用開始。
2ヶ月目、便まだ硬いため当帰増量、地骨皮を加える。
3ヶ月目、便通、寝汗改善してきたので同処方継続し、ショート法で採卵し2日目の新鮮胚移植にて陽性、その後胎嚢確認。
また、採卵した15個うちの13個が体外受精と顕微授精にて受精し、使用しなかった卵のうちAAを含めて4BB以上の良好胚盤胞を8個凍結した。
舌暗紅無苔で陰虚が強いため通常人参ではなく党参を使用するが、舌裏は淡紅であったのと寒い時期であり足の冷えがあったため、一緒に使う牡蠣肉との相性も考慮し人参を選薬した。また人参による陽の上亢を防ぐため健脾作用もあり心血を養う竜眼肉を加えていたが、症状から結局陰虚熱を冷ます地骨皮を加えることで体のバランスが改善された。比較的短期間の漢方薬の使用ではあったが、受精卵から胚盤胞まで到達する割合やグレードの良い良好胚の割合が高いことから、体外受精・顕微授精の治療効果に漢方薬が寄与している思われる。今後も舌診では表と裏の色、処方では生薬同士の効果を高めたり、副作用を防ぐ対薬を選び科学的な漢方薬の使い方を追求したいと思います。