後腹膜線維腫症、悪性リンパ腫による水腎症
来局時の状況)
63歳 女性 医学的診断:後腹膜線維症・悪性リンパ腫による水腎症
主訴)身の絞り・下腹部のジリジリした熱感・ステントを早く抜きたい
7ヶ月前から体調に違和感。1ヶ月半に不眠・口渇・疲労感が4日程続いたのち倒れて緊急入院して水腎症と診断され尿管ステントを入れる。
現在、尿管ステントの留置とプレドニゾロン25mg内服で外来治療中。
漢方による原因分析)
・身の絞り、下腹部の熱感陰痛、踵からの違和感、腰痛、寝汗、夜中の2時間おきのトイレ、疲れ、舌暗紅、ステロイド服用中などから腎陰虚
・ステント留置、手先の針で刺すような痛み、舌やや紫、舌下静脈怒張から瘀血
・舌の動きに硬さがあり、脈滑、舌苔奥厚から熱湿がまだ残っている
方針)ステロイドの副作用予防と離脱症状を防ぐために滋腎陰、ステント抜去に向けた体質のため活血通絡、病気を引き起こした熱湿を取り除くのは1ヶ月漢方薬を服用後判断する
改善結果)
煎じ薬は滋腎陰の六味丸に、BUN22.7、CRE1.23と上昇しているので、腎機能低下時に相性の良い黄耆が含まれた玉屏風散に、補腎陰の女貞子、安神・収斂の牡蛎、弱い活血で山査肉。併せて亀板・鼈甲製品で開始。
1ヶ月後、症状に変化がないため、清熱袪湿をする。六味丸の熟地黄を乾地黄に変更、玉屏風散を「医宗金鑑」竜胆瀉肝湯に変更、女貞子・牡蛎を清熱利湿のイン陳コウ・清熱解毒利尿の蒲公英とに変更。
2ヶ月後、CT検査にてリンパ腫疑いの影が薄くなって、細いステントに交換。自覚症状も改善してくる。イン陳コウを丹参と猪苓に変え清熱袪湿から活血を中心にしていく。その後も自覚症状や検査結果に合わせて微調整していく。
6ヶ月後、CTの影が消え、ステントを抜去。自覚症状も改善している。再発を防ぐため漢方薬を調整して継続。
まとめ
相談者は、漢方薬のおかげでリンパ腫の悩みもなくなり、ステントがなくても大丈夫になったと大変喜ばれていました。ステントを長期留置しないですむように、漢方薬で体を整えていった結果、順調に回復してステントを除去できて良かったです。