低AMH、体外受精で妊娠できず、漢方薬で自然妊娠・出産 36歳
来局時の状況)
34歳 医学的な不妊の原因:なし
1人目を希望し1年
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法12ヶ月、人工授精3回
漢方による原因分析)
○冷え性、アトピー性皮膚炎、白髪・抜け毛・夜間のトイレ、低AMH1.96、生理周期が短くなっているなどから腎虚
○子宮筋腫、生理前の下腹部の痛み、生理痛、経血にレバー状の塊、慢性的な肩こり・頭痛、イライラしやすい、寝付きが悪いなどから気滞瘀血
○肌や髪の乾燥、夢を見る・夜中に目が覚める、くよくよ・不安な気持ちになりやすいなどから血虚
○胃腸が弱い、疲れやすい、だるい、食後に眠くなるなどから脾虚
方針)これまでに陽性がでたことない。今後ステップアップするつもりだが、できれば自然に授かれる体に整えたい。
改善結果)
牡蠣肉・当帰製品・丹参製品で、補腎・活血・補血をしていく。
1ヶ月目、生理痛あり(生理2日前から生理3日目まで痛み)。肩こり(+)、頭痛(-)。仕事で疲れている。寝付き悪い。
2ヶ月目、生理痛がほとんどなくなった。肩こり(+)、生理前少量の不正出血。
3ヶ月目、生理痛は少しだけ、薬を飲まなくても大丈夫になった。夜間のトイレ1回
4ヶ月目、採卵周期。2個採卵し、1個は初期胚で凍結。1個は胚盤胞を目指したが分割停止し凍結できず。ホルモン剤の影響か採卵後便通が悪い。
5ヶ月目、移植周期。凍結初期胚移植するも妊娠反応(-)。
6ヶ月目、「もう採卵はしたくない」とのことで、治療は中止し、体を整えて自然妊娠を目指す。
8ヶ月目、生理周期が当初25日から28日に長くなってきた。生理痛はほとんどなくなった。
11ヶ月目、生理前の不調や不正出血がなくなってきた。
13ヶ月目、甲状腺の数値がギリギリと言われ再検査となったが大丈夫だった。
16ヶ月目、転職して、ストレスが多い。久しぶりに生理痛があり、アトピー性皮膚炎の症状が悪化したため、体を潤す力をつける補腎薬(亀板鼈甲鹿角)を追加。
18ヶ月目、アトピー性皮膚炎の痒みおさまってきた。排卵時のオリモノがしっかりでるようになった。
20ヶ月目、自然妊娠、その後胎嚢・心拍確認。
⇒元気な男の子を出産されました。
考察)
体質診断では、瘀血・気虚・血虚・脾虚・腎虚など、妊娠力の不足が顕著な方でした。
妊娠するための根本的エネルギー不足がある方は、改善に少し時間がかかる場合が多いです。
漢方薬を飲み初めて、生理痛など徐々に改善してきたものの、3ヶ月後の体外受精では、良い結果がでませんでした。
相談者から、「体外受精は体の負担やストレスが大きく、自分には合わないので、治療はやめて体を整えて自然妊娠を目指したい」との希望があり、コツコツ体づくりをしていくことになりました。
その後、奥様の転職やご主人の仕事が多忙など紆余曲折あり、なかなか妊娠できないことから焦りがでて諦めかけた時期もありましたが、できる範囲でコツコツと体づくりを継続しました。補腎薬の種類を追加後から、排卵時のおりものの変化をしっかり感じられるようになり、その翌々月に自然妊娠となりました。
排卵時のオリモノの変化(伸びるおりものがしっかりでること)は妊娠力が充実してきたサインです。少し時間がかかりましたが、漢方で体を整えたことで自身の妊娠力を発揮して、希望通り自然妊娠することができて良かったです。(薬剤師 田之上顕子)