来局時38歳 医学的な不妊の原因:なし 2人目希望
○来局時の不妊治療歴:なし 1人目は体外受精で出産

漢方による原因分析)
○一人目の時から現在まで当帰阿膠製剤で体を整えており不調がないため今回は省略

方針)漢方薬で体を整えて、一人目の時に凍結した胚盤胞を移植する予定。
中医学では妊娠・出産・授乳で血や腎精を消耗し血虚・腎虚になると考える。
そのため補腎・養血・活血をするが、体調も良いので煎じ薬でなく製品の組み合わせにて対応する。
改善結果)
1ヶ月目、移植に向けて牡蠣肉製品・当帰阿膠製剤・冠心Ⅱ号方製剤を服用開始。
3ヶ月目、同処方継続で凍結胚盤胞移植するが陰性。採卵に向けて冠心Ⅱ号方製剤→亀板鼈甲膠製品に変更して継続。
5ヶ月目、採卵周期。7個成熟卵が採卵でき、顕微授精にて胚盤胞を3個凍結。移植に向けて冠心Ⅱ号方製剤を追加。
6ヶ月目、凍結胚盤胞移植(1回目)→陰性
10ヶ月目、凍結胚盤胞移植(2回目) 
12ヶ月目、妊娠反応陽性。胎嚢・心拍確認。流産予防のため安胎薬を継続。
13ヶ月目、不妊治療専門クリニックを卒業。安胎薬を継続中。

考察)葉天士「臨床指南医案」において、補腎精にはムール貝が頻用されている。私の薬局では、ムール貝ではなく牡蠣を頻用している。その理由は、日本ではムール貝より牡蠣の方が長く食べらており日本人に適した補腎生薬だと考えているからである。今回は、一人目の妊娠の時から2年経過しており最初から補腎に重点をおいて牡蠣肉製品と亀板鼈甲膠製品を一緒に服用していたら期間が短縮できた可能性があったと考えている。
(薬剤師、国際中医師:田之上晃)