骨髄異形成症候群(MDS)の漢方治療:77歳女性の方の症例

はじめに

さつま薬局の漢方相談では、一人ひとりの体質や症状に合わせた漢方薬を選定し、健康回復を目指しています。今回は、骨髄異形成症候群(MDS)と診断された77歳の女性の症例をご紹介します。

患者さんの状態

  • 診断: 2024年6月に骨髄検査にて骨髄異形成症候群(MDS)
  • 症状: 疲労感、倦怠感、下肢内出血
  • 血液検査: 
    血小板1.8  ヘモグロビン 10.4《2024年6月の検査値》
    血小板2.6   ヘモグロビン 10.6《2024年6月2週間後の検査値》
    血小板1.8   ヘモグロビン 10.5《2024年6月2週間後の検査値》
  • 治療: 病院で処方された薬に加え、漢方薬による改善を希望

漢方治療

原因分析

  • 腎虚: 骨髄機能の低下
  • 気虚による気不摂血: 疲労感や内出血

治療方針

  • 補腎: 骨髄機能の改善と血小板数の増加
  • 補気: 疲労感の改善
  • 健脾: 補腎薬の吸収を高め、効果を上げる

処方内容

  • 牡蠣肉製品、鹿茸製剤、帰脾湯製剤を組み合わせたオリジナル処方
  • 補腎作用が強く、気虚を補う効果も期待できる

治療経過

  • 開始1週間後: 血小板数が1.4に低下しているため1週間後の検査次第で輸血を提案される。
  • 開始2週間後: 血小板数2.0に増加、Hb10.3と維持していたため、輸血せず経過観察となる。
    2ヶ月後:血小板2.1、Hb11.1と伴に上昇し、検査間隔が2週間から1か月となる。倦怠感や疲労感が改善。漢方薬は同処方で継続。

治療のポイント

  • 高齢者への漢方治療: 高齢者の場合、補腎の生薬は少量から始めることが多いですが、本症例では血小板数が極めて低かったため、最初から通常用量で投与しました。
  • 治療効果: 漢方薬の継続により、血小板数の増加、ヘモグロビン値の改善、倦怠感の軽減が見られました。
  • 輸血の回避: 輸血の必要性が減少し、患者の身体的・精神的な負担を軽減しました。

まとめ

骨髄異形成症候群(MDS)は、高齢者に多くみられる血液の病気です。西洋医学と漢方医学を組み合わせることで、より良い治療効果が期待できます。さつま薬局では、一人ひとりの体質や症状に合わせた漢方薬を選定し、健康回復をサポートいたします。(薬剤師、国際中医師:田之上晃)

ご不明な点やご相談は、お気軽にさつま薬局までお問い合わせください。

【漢方相談に関する注意点】

  • 漢方薬は、体質や症状によって効果が異なります。必ず医師や薬剤師にご相談ください。
  • 本記事は、あくまで一例であり、すべての患者さんに当てはまるものではありません。

骨髄異形成症候群(MDS)症例

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