来局時の状況

38歳 女性 医学的診断:月経前症候群(PMS)

主訴

月経前症候群(PMS)による体調不良でピルや抗うつ剤や睡眠導入剤の病院治療を受けてきた。症状がひどい時は出勤もできなくなるなどコントロールできない状態が12年続いている。

現病歴

28歳時に生理前の不快症状に悩まされ婦人科にてピルと加味逍遥散を服用。2,3年後に漢方は効果実感できないため中止。心療内科も受診するようになり、自律神経失調症・パニック障害・うつ病などでパロキセチン・ゾルピデム・アルプラゾラムを服用にて症状はある程度改善したが、薬を継続していても仕事に行けなくなるような発作がでるためアルバイトでしか働くことができない。漢方クリニックを受診し、通導散・抑肝散・桃核承気湯を服用しやや改善する。現在はピルは服用していない。もう少し改善したい。

漢方医学的所見

自覚症状

手足冷え。夜寝る前の足の火照り。汗をかきやすい。寝つき悪い。便はやや硬い。足のむくみ。口内炎よくできる。首筋のこり。目の疲れ。動悸。生理周期は遅れがち。

他覚症状

舌辺暗紅、弦脈

改善結果

腎陰虚・肝鬱化火と弁証し、病院の漢方薬を中止してもらい、加味逍遥散満量と亀板膠製品を1カ月(約17,000円)服用。
不安感・イライラなど自覚症状は軽減したが、便が緩くなってきたので、加味逍遥散1包と逍遥散2包と亀板膠製品に変更し1カ月服用。さらに体調や脈など改善したので、加味逍遥散のみ中止して継続。睡眠導入剤を飲まなくても眠れるようになる。
生理周期に合わせて調整しながら漢方薬を1年6カ月継続し、大きな発作もなくなり、6年ぶりに常勤の仕事を始める。その後は2~3ヶ月毎に経過観察。漢方は半分以下の量で継続。以前より気力・体力が充実して、仕事も1年以上問題なく続けられている。

考察

以前病院で加味逍遥散を服用したときに効果を感じなかったのは、製品の品質の問題もあると思います。漢方薬は、同じ処方名でも製造メーカーにより使用している生薬の品質や製造法が異なるので、製品の色や香り・味が全く違います。味や香りがしっかりあるほうが、揮発性の有効成分が残っていて効果が高いです。当局では品質の良い製品のみ採用しています。
また、途中で加味逍遥散から逍遥散(清熱の牡丹皮・山梔子が入っていない)に変更したことで、不必要に体を冷やさず、バランスの崩れをよりよく改善できたのではと思います。(薬剤師・国際中医師:田之上晃)

 

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