骨髄異形成症候群(MDS)患者に対する漢方治療:81歳男性における補腎治療の有効性

1. はじめに

さつま薬局漢方相談では、一人ひとりの体質や症状に合わせたオーダーメイドの漢方処方を行い、健康回復を目指している。本報告では、骨髄異形成症候群(MDS)と診断された81歳男性に対する漢方治療の経過を報告する。

2. 患者背景

  • 診断: 骨髄異形成症候群(MDS)
  • 年齢: 81歳
  • 主訴: 自覚症状は乏しいものの、血液検査にて血球減少傾向が認められる。
  • 既往歴: なし
  • 現病歴:
    • 2022年12月6日:血液検査にて、白血球1900/μL、赤血球368万/μL、血小板4.5万/μLと診断される。
    • 2023年4月5日:血液検査にて、白血球1800/μL、赤血球392万/μL、血小板3.9万/μLと、軽度の血球減少が続く。

3. 治療

3.1 漢方治療の目的

  • 腎虚の改善: 骨髄機能の低下を補い、血球減少を改善する。

3.2 方剤

  • 初期処方: 牡蠣肉製品、鹿茸製剤、杞菊地黄丸製剤を組み合わせたオリジナル処方
  • 経過観察: 血液検査の結果を参考に、半枝蓮製品を追加

3.3 治療経過

  • 2023年5月24日: 白血球2100/μL、赤血球392万/μL、血小板4.0万/μLと、血球減少傾向が止まる。
  • 2024年5月7日: 白血球2500/μL、赤血球418万/μL、血小板3.1万/μLと、白血球と赤血球は回復傾向を示す。
  • 2024年10月26日: 白血球2600/μL、赤血球422万/μL、血小板2.9万/μLと、白血球と赤血球は回復傾向を示す。

4. 考察

本症例では、高齢者におけるMDSに対し、補腎を目的とした漢方治療を行った。その結果、白血球と赤血球の減少傾向が改善し、良好な治療効果が得られた。しかし、血小板の減少は改善が見られなかった。これは、腎虚以外の要因が関与している可能性が考えられる。

5. 結語

高齢者におけるMDSに対し、漢方治療は有効な治療選択肢の一つとなりうる。本症例のように、補腎治療により、血球減少の改善が期待できる。しかし、個々の症例における治療効果は異なり、経過観察と必要に応じた方剤の調整が重要である。(薬剤師、国際中医師:田之上晃)

ご不明な点やご相談は、お気軽にさつま薬局までお問い合わせください。

【漢方相談に関する注意点】

  • 漢方薬は、体質や症状によって効果が異なります。必ず医師や薬剤師にご相談ください。
  • 本記事は、あくまで一例であり、すべての患者さんに当てはまるものではありません。

骨髄異形成症候群(MDS)症例

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