流産歴2回、胚移植連続4回失敗、漢方併用で妊娠 40歳
来局時39歳 医学的な不妊の原因:なし
2人目を希望し3年 (33歳で1人目を体外受精で出産している)
○来局時の不妊治療歴:人工授精4回、体外受精3回、顕微授精1回(新鮮胚移植2回、凍結胚移植2回いずれも陰性)
漢方による原因分析)
○冷え、むくみやすい、夜トイレに起きる、高血圧傾向、抜け毛、排卵日付近でオリモノの変化が分からない、過去に腎尿細管性アシドーシスで入院歴、2度の流産歴、子宮外妊娠などから腎虚
○イライラしやすい、寝付きが悪い、生理不順、卵管閉塞、基礎体温の変動が大きい(ガタガタしている)目が覚めやすいなどから気滞瘀血
○生理量が少ない、生理が遅れがちなどから血虚
方針)体づくりをして体外受精を上手くいかせたいと希望。補腎と養血活血をすることで子宮・卵巣の機能を改善して妊娠を目指す。
改善結果)
牡蠣肉・当帰製品・亀板鼈甲製品・丹参製剤で、補腎・活血・補血をしていく。
1~2ヶ月目、大きく体調に変化はなし。子育てをしながらの不妊治療なので、余力のある状態に整えて採卵に備える。
3ヶ月目、採卵周期。26個採卵でき、2個胚盤胞凍結。
4~6ヶ月目、寒い時期を避けて移植する予定。移植に向けて漢方薬を継続。
7ヶ月目、凍結胚移植(1回目)⇒陰性
8~9ヶ月目、次の移植に向けて漢方薬を継続。
10ヶ月目、凍結胚移植(2回目)⇒陽性。その後胎嚢・心拍確認。
11ヶ月目、流産予防のため安胎処方を継続。不妊治療専門クリニックを卒業。
考察)
1人目の妊活中に2回の流産歴と子宮外妊娠で右卵管切除していること。AMHが3.63と年齢の割に高値であり、採卵は毎回20個前後できるものの胚盤胞凍結が2個程度。過去の腎臓疾患歴など腎虚のサインが多く、体質的に妊娠しにくい腎虚体質の方です。また、AMHが高い場合はPCOSでなくとも、卵胞の発育に時間がかかっていたり、排卵がスムーズではない可能性が高く、 卵胞に必要な栄養が十分でなかったり、卵巣の血流が悪く滞っていたりといった要因が考えられます。これまで移植を4回をして一度も陽性が出ていないことから、卵胞の質を上げ、着床しやすい子宮になるよう漢方薬をコツコツ続けて体づくりをしながら、体外受精を継続しました。
漢方を開始して採卵1回、2回目の移植で授かることができました。
(薬剤師:田之上顕子)
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