10代から続く無月経が漢方薬で改善
10代から続く無月経の体質改善で来局。32歳
医学的な原因:20歳頃は多嚢胞性卵巣症候群、25歳頃は卵巣機能低下
1年に1回しか生理が来ない。
全身症状を確認し分析したところ、
○下半身の冷え、睡眠の質の低下、夜のトイレ、口内炎がよくできる、内出血ができやすい、排便の状態、初潮以降続く無月経、舌・脈などから脾腎両虚
○肩こり、頭痛、舌などから弱い瘀血
などが原因による無月経と考えられました。
体のバランスが乱れ女性ホルモンが作用しにくい状態になり生理が来なくなっているので、脾を補い腎を強くし、血を巡らすことで定期的に生理が来る体を目指します。
煎じ薬は気血双補の帰脾湯を基本処方とし、補腎の熟地黄・疏肝理気の香附子を加えた処方でまず1ヶ月様子を見る。同時に再度西洋医学的な検査を受けることと強制的消退出血を起こしてもらうため婦人科の受診してもらい、ホルモン検査では異常はみられなかった。
煎じ薬で体の症状は徐々に改善しているので生薬を加減しながら4ヶ月継続。その間に病院でホルモン剤を使って2周期生理を起こす。
脾虚は改善してきたものの、基礎体温が全体的に低く長期間の無月経の状態があるため腎虚の改善を強化するため煎じ薬は十全大補湯加附子とし、更に動物生薬の亀板鼈甲膠製品を追加。更に微調整しながら4ヶ月継続したところ、ピンク色の少量の出血と下腹部の鈍痛がありもう少しで生理がきそうな感覚であるとのこと。煎じ薬は牛膝、益母草、紅花などの活血薬を増やし、動物生薬は紫河車製品に変更しました。
不正出血から3週間後、しっかりした出血の生理がくる。生理痛もほとんど無く「ホルモン剤で生理を起こした時と違い、経血の色も綺麗でした。初めてちゃんとした生理がきた気がします」と喜んでいただけました。
時間はかかりましたが、生まれて初めて女性本来の自然な生理を起こせました。。
西洋医学では生理を起こすことが目的になりますが、漢方は女性としての健康度を上げることで自然と生理が起こる体になることを目指します。
今回は脾虚を先に改善し、血の運搬力をあげるため帰脾湯を選びました。養心安神作用があり血虚不眠に効果のある酸棗仁が入っており、養陰収汗作用もあるため汗をかきやすい相談者にはピッタリの生薬です。そのため体調自体は早く改善できたのだと考えています。