更年期障害の動悸、不眠を漢方薬で改善
来局時55歳 女性 医学的診断:更年期障害
主訴)動悸、不眠、のぼせ
5ヶ月前、疲れているとき運転をして過呼吸のような症状になった。それ以来、不定愁訴に悩み病院でミオナール50、ラベプラゾール10、グロリアミン配合、マイスリー5、デパス0.5などの治療を受けている。病院からの加味逍遙散エキス顆粒を服用したが手足に力が入らなくなり、体が重だるくなったため中止。
漢方による原因分析)
動悸、胸のざわつき、頭部の圧迫感、上半身ののぼせと下肢の冷え、舌胖大、白滑苔などから水飲凌心、病院で心臓の弁の動きが悪いと言われており舌色が暗紅色から活血が必要と分析。
方針)温陽化飲、活血通絡
改善結果)
煎じ薬で苓桂朮甘湯に活血で紅花・赤芍・川芎・丹参、少し疏肝をするために香附子、不安感を鎮めるために平肝潜陽の牡蛎を加える。
1ヶ月後 自覚症状はあまり変わりないとのこと、顔色に艶がでてきている。補腎陽の真武湯と咳が出そうな感じがするとのことなので半夏厚朴湯の合方にする。
2ヶ月後 暑い時期でもこたつで温めるようなひどい足の冷えがなくなった。よく眠れるようになりマイスリーやデパスがいらなくなった。咳がでなくなり、胸のざわつき感が良くなった。
発症してから5ヶ月と期間が短いため早く結果が出せました。
デパスなどを6ヶ月以上服用していると50%の方は常用量内依存ができると言われているため、飲まなくてもよい状態になるのは難しいです。また、病院で処方された加味逍遙散は更年期障害でよく使われる処方ですが、血虚がないと的はずれな処方になってしまいます。この方はのぼせがありますが、肝鬱からの化火が原因ではないので熱を冷ます牡丹皮・山シ子が入っている加味逍遙散で体調が悪化したのだと考えられます。更年期障害という同じ病名でも中医学的に分析してそれぞれの原因に適した漢方薬を選ぶことで体の反応がまったく違ってきます。