症例報告:さつま薬局漢方相談における卵管閉塞疑い患者への漢方治療と自然妊娠

患者背景

  • 年齢:31歳
  • 既往歴:1人目妊娠時切迫流産
  • 現病歴:2人目希望し4ヶ月。
  • 既往治療歴:なし
  • 漢方治療開始時の所見:冷え感、頻尿、腎虚を認める。基礎体温は正常。

治療経過

1-8ヶ月目: 牡蠣肉製品、亀板膠製品を服用し、タイミング法を行うも妊娠に至らず。 9-13ヶ月目: 亀板膠製品に加え、四物湯加党参・丹参・香附子・炙甘草・桂皮・茯苓の煎じ薬を服用。体質に合わせて生薬を調整しながら継続。 14ヶ月目: 病院で検査を行い、両側卵管閉塞の疑いとの診断を受ける。不妊治療専門クリニックにて再検査の結果、右側卵管はわずかに通る可能性があると判明。 15ヶ月目: 卵管のむくみを改善するため、四物湯合桂枝茯苓丸加丹参・香附子・陳皮・炙甘草に変更。2週間後に妊娠を確認。

治療薬

  • 初期: 牡蠣肉製品、亀板膠製品
  • 中期: 亀板膠製品、四物湯加党参・丹参・香附子・炙甘草・桂皮・茯苓
  • 後期: 四物湯合桂枝茯苓丸加丹参・香附子・陳皮・炙甘草

治療効果

漢方治療開始から15ヶ月で自然妊娠に至った。

考察

本症例は、基礎体温が正常でありながら、冷え感や頻尿を訴え、腎虚が認められた。漢方治療により、腎の改善を図るとともに、卵管の疎通性を改善するための処方を用いた。その結果、体外受精を前に自然妊娠に至った。

本症例から、漢方治療は、西洋医学的な不妊治療と併用することで、その効果を高める可能性が示唆される。特に、卵管閉塞が疑われる場合においても、漢方治療による卵管の疎通性改善が期待できる。

今後の課題

本症例は一例であり、より多くの症例を積み重ねることで、漢方治療の有効性についてさらなるエビデンスを構築していく必要がある。また、漢方治療の効果を最大限に引き出すためには、西洋医学的な検査との連携が重要である。(薬剤師・国際中医師:田之上晃)