一般的に連続2回の流産を反復流産といい、3回以上繰り返す場合を習慣性流産といいます。
自然流産は、全妊娠の約15~20%に起こり、その約8割を占める妊娠12週までに起こる初期流産の多くは胎児の染色体異常によるもので、病的ではなく防ぐことのできないものです。
ただし、胎児の染色体異常のほとんどは偶発的なものであり、通常は何度も流産が起こる確率は低く、何度も流産が起こる場合は偶然だけではなく、何らかの原因があるものと考えられています。
(理論上は3回連続流産する確率は0.5%未満)

Aさん 37歳 

自然妊娠を2回したが、2回とも6週で流産。不育症検査では異常なし

1~4ヶ月目:もともと冷えが強く、頻繁に蕁麻疹がでていた。漢方で体づくりをするようになって蕁麻疹が顕著に改善した。
5ヶ月目:病院で、高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断され、カベルゴリン服用開始。医師からは体外受精を勧められる。
6~7ヶ月目:冷え改善の漢方薬を調整して服用。病院治療はカベルゴリンの服用のみ。
8ヶ月目:「そろそろ体外受精を考えている」と話されていたが、その周期に自然妊娠。
流産予防や赤ちゃんの健やかな成長を支えるために、出産まで漢方薬を継続。
⇒女の子を出産。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合、流産率がやや高くなりますが、漢方薬で血流を改善し、卵巣機能や子宮内環境を良くすることで、流産の確率を下げることが可能だと考えています。

Bさん 38歳 

顕微授精で3回妊娠するが、3回とも8~9週で流産。(胎嚢確認までが2回、心拍確認が1回)

1~4ヶ月目:瘀血(おけつ)の改善を中心に漢方で体質改善。慢性的な肩こりがなくなり、経血の塊が減少した。睡眠の状態がよくなり、ぐっすり眠れるようになった。
5ヶ月目:以前凍結していた胚盤胞を移植するが妊娠せず。採卵に向けて体を整える。
6~9ヶ月目:採卵、6個胚盤胞を凍結し、着床前胚染色体異数検査(PGT-A)を受ける。
10ヶ月目、凍結胚盤胞を移植し、妊娠。流産予防の漢方(安胎薬)を継続。
⇒男の子を出産。

採卵・移植・妊娠までは上手くいくのに、繰り返し流産している方。慢性的な肩こり・経血に大きな塊・子宮ポリープの手術歴など顕著な瘀血体質(循環障害)があること、またストレスを感じやすい性格で気の巡りが悪くなりやすいので、漢方で体を整えながらストレスを溜めないように養生してもらい、無事出産することができました。

C さん 38歳 

初期流産2回、子宮外妊娠2回。不育症検査では異常なし

1~8ヶ月目:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、冷え、残尿感、風邪をよくひく、反復流産などから補腎・活血を主に漢方薬を続け、4か月目と8ヶ月目に以前凍結していた胚を移植するが妊娠せず。採卵に向けて体を整える。
9~12ヶ月目:理気の木香や清熱平肝の釣藤鈎などで微調整しながら、再度採卵し、着床前胚染色体異数検査(PGT-A)を受ける。
13ヶ月目、凍結胚盤胞を移植し、妊娠。流産予防の漢方(安胎薬)を継続。
⇒男の子を出産。

子宮外妊娠や初期流産を繰り返し、精神的なストレスで吐き気や喉の詰まりを感じたり、妊娠時は極度の不安感を感じるなどありました。漢方で自身の妊娠・出産する力を上手にひきだすことで、無事に赤ちゃんを授かることができました。

流産のリスクを減らすためには

反復流産や習慣性流産は、検査で原因を特定できることもありますが、多くの場合はっきりとした原因がわかりません。

昨年から一部の医療機関では、体外受精/顕微授精における胚移植で連続して妊娠しない方や反復流産している方を対象に、着床前胚染色体異数検査(PGT-A)という受精卵の染色体検査を実施しています。ただしPGT-Aをクリアした胚移植であっても妊娠・出産に至らないケースも多いです。

流産のリスクを減らすには、妊娠前から体が良い状態になるようにアプローチしていくことです。
夫婦で取り組んで、染色体異常の確率を下げること(精子のDNA損傷率を減らし、卵子の質をよくすること)。
また、お母さんはしっかり赤ちゃんを育んでいける力をつけておくことです。
できることをコツコツ続けて、様々な可能性や確率を高めていくことが大切です。

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