漢方薬で自然妊娠 33歳
漢方相談症例報告:育児ストレスによるイライラと不妊治療のサポート
患者背景
- 年齢:32歳
- 既往歴:1人目妊娠前、片側卵管狭窄。1年4ヶ月前に第1子出産。
- 主訴:生理前のイライラが酷い、育児ストレス、2人目妊活希望
- 現病歴:出産後、咳喘息。腰の痛み・重だるさ。
- 漢方診断:肝血虚からの気滞、腎虚
治療経過
初診時
- 診断:舌暗紅、脈などから育児ストレスによる肝血虚からの気滞、腎虚
- 方針:逍遥散製剤を常用量で処方し、気滞を改善し心身を整える。牡蠣肉製品を併用。
1~8か月
- 逍遥散製剤と牡蠣肉製品を継続。
- イライラの改善が見られ、育児を楽しめるように。
9か月目
- 2人目妊娠を希望。
- 活血作用のある丹参製剤を3分の1量追加。
- 片側卵管狭窄の既往歴があるため、様子をみて受診する予定。
10か月目
- イライラの改善を維持。
- 疏肝作用を減らし、補血作用を増強。
- 逍遥散製剤、丹参製剤を各3分の1量、当帰阿膠製剤を常用量、牡蠣肉製品を継続。
11か月目
- 妊娠反応陽性。
- 胎嚢確認。
- 安胎薬を継続。
考察
本症例は、育児ストレスによるイライラを主訴に来局された32歳女性です。漢方診断の結果、肝血虚からの気滞と腎虚と判断し、逍遥散製剤と牡蠣肉製品を処方しました。治療開始後、イライラの改善が見られ、育児を楽しめるようになったことから、漢方治療の効果が認められました。
2人目妊娠を希望されたことから、活血作用のある丹参製剤を追加し、体への刺激を変えることで妊娠の可能性を高める処方へ変更しました。その後、妊娠が成立し、安胎薬を継続して経過観察中です。
本症例は、育児ストレスによる心身の不調に対して、漢方治療が有効であったことを示唆しています。特に、肝の機能不全が感情の不安定に深く関与していると考えられ、補血疏肝の処方が有効であったと考えられます。
結論
本症例は、さつま薬局の漢方相談において、育児ストレスによるイライラと不妊治療をサポートした症例です。漢方治療は、西洋医学では捉えにくい心身の状態を総合的に捉え、個々の体質に合わせた治療を行うことができます。本症例のように、育児中の女性における心身の不調に対して、漢方治療が有効な選択肢の一つとなる可能性が示唆されました。(薬剤師・国際中医師:田之上晃)