漢方相談症例報告:慢性難治性耳鳴りに対する漢方治療

患者背景

  • 年齢: 41歳
  • 性別: 女性
  • 主訴: 耳鳴り(1年前から突然発生、ジーとした音が一日中続く)
  • 既往歴: 特になし
  • 家族歴: 不明
  • 現病歴:
    • 耳鼻科にて光線療法を受けるも効果なし
    • 1年前から続く激しい耳鳴り
  • 生活習慣: 不明
  • 服用薬: 不明
  • アレルギー: 不明

漢方医学的所見

  • 自覚症状: イライラしやすい、冷え、疲労時のめまい、寝付きが悪い、起床時疲労感が抜けない、生理痛はないが生理前に頭痛・胃痛、便通は良い
  • 他覚症状: 髪が細く毛量が少ない

治療経過

  1. 初診時:
    • 診断: 肝腎陰虚、肝火上炎
    • 治療: 牡蠣肉製品(補肝腎)を1ヶ月服用
  2. 3ヶ月後: イライラや疲労感は改善するも、耳鳴りは変わらず
  3. 4ヶ月後:
    • 診断: 慢性化による瘀血
    • 治療: 丹参製剤(瘀血改善)、当帰阿膠製剤(月経周期調整)を追加
  4. 5ヶ月後: 症状が徐々に改善
  5. 9ヶ月後: 耳鳴りが全く気にならなくなる
  6. 以降: 再発なし

考察

本症例は、1年間にわたり続く慢性難治性耳鳴りを呈する41歳女性である。西洋医学的な治療法では改善が見られなかったため、当薬局の漢方相談を受診された。

初診時の漢方診断では、肝腎陰虚と肝火上炎が認められた。これは、長年のストレスや過労などが原因となり、肝の機能が低下し、陰液が不足することで火が上向き、耳鳴りなどの症状を引き起こす状態である。

治療初期には、牡蠣肉製品を用いて肝腎を補い、陰液を滋養することで、イライラや疲労感などの症状は改善が見られた。しかし、長期間にわたる耳鳴りは、単なる機能的な不調ではなく、体質的な問題であると考えられた。

そこで、4ヶ月目からは、慢性化による瘀血を改善するための丹参製剤と、月経周期に伴う体調の変化に対応するための当帰阿膠製剤を追加投与した。これらの処方により、血行が改善され、体内の瘀血が解消されたことで、耳鳴りの症状は徐々に改善し、最終的には完全に消失した。

本症例は、耳鳴りの原因が単に耳の局所的な問題ではなく、体全体のバランスの乱れ、特に肝腎の機能低下と瘀血が深く関わっていることを示唆している。漢方治療では、このような体質的な問題に根ざした治療を行うことで、難治性の耳鳴りに対しても効果を発揮することが期待できる。

まとめ

本症例は、慢性難治性耳鳴りに対する漢方治療の有効性を示す一例である。漢方治療は、西洋医学では治療が困難な慢性疾患に対して、体質や症状に合わせて個々の患者に最適な治療を提供できるという点で優れている。(薬剤師・国際中医師:田之上晃)

【注意事項】

  • 本症例はあくまで一例であり、全ての患者さんに同様の効果が得られるとは限りません。

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