男性不妊症の中で最も頻度が高い原因に精索静脈瘤があります。
男性不妊症患者の約35%、さらに二人目不妊に限ると約70%に精索静脈瘤が認められます。

精索静脈瘤とは、精嚢内の静脈の逆流によって拡張・うっ血して瘤状に太くなる状態のことをいいます。精索静脈瘤によって血液が滞留することによって精巣の温度が上昇してしまい、精子の産生や機能が低下する場合があり、不妊症の場合は、精液検査がWHOの基準値以下で手術の適応になります。

不妊治療は女性だけでなく男性の状態も大切です。二人の赤ちゃんを早く授かるためには、精液検査で異常があった場合は、早めに生殖医療に詳しい泌尿器科を受診することをお勧めしています。診断は、陰嚢の視診と触診で行われ、表面に怒張した静脈の有無を確認します。近年は、以前と比べて合併症も少なく効果の高い手術法も登場し、手術を受けることで、造精機能が改善し、人工授精や顕微授精などの不妊治療の成績を向上させる効果が期待できます。

精索静脈瘤は、漢方的には血のめぐりが悪い瘀血体質がベースにあります。
術後の再発抑制や造精機能改善のサポートとして漢方薬を役立てながら、不妊治療を受けて赤ちゃんを授かったご夫婦もいらっしゃいます。

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※参考文献:今日の治療指針2020、医学書院出版