PGT-A凍結胚移植と漢方薬の併用による妊娠
患者背景
- 年齢:36歳
- 不妊期間:1人目不妊4年5ヶ月
- 医学的診断:多嚢胞性卵巣症候群、高プロラクチン血症、子宮内膜ポリープ、子宮筋腫、子宮内膜症、卵管水腫、子宮内膜増殖症
- 治療歴:体外受精による凍結胚盤胞移植6回そのうちPGT-A2個(4AB、4BB)(3回妊娠するも、心拍確認に至らず)
来局時の症状と漢方診断
- 冷え、PCOS、AMH0.91、良好胚盤胞移植後の妊娠不成立:腎虚を疑う
- 末端の冷え、経血塊、PCOS、子宮筋腫、子宮内膜症、舌診所見(舌辺暗紅、舌下静脈怒張):瘀血を疑う
治療方針
- 目的: PGT-Aを受けた残りの1個の凍結胚盤胞移植の成功率向上と、次回採卵における卵子の質改善
- 処方: 芎帰調血飲去白朮・生姜・大棗加丹参・赤芍・紅花・桂枝・鶏血藤・牛膝の煎じ薬と牡蠣肉製品とシベリア霊芝
- 効能: 補腎、活血
治療経過と効果
- 1-12ヶ月目: 移植に備えて体調で生薬を加減し調整する。
- 13ヶ月目: 凍結胚盤胞移植後、胎嚢確認にて妊娠(37歳)。
- その後: 心拍確認。
考察
患者様は、良好な胚盤胞を複数回移植しているにも関わらず、流産を繰り返していました。漢方薬で体を整えPGT-Aを受けた残りの胚(3AB)を移植し初めての心拍確認まで進めました
本ケースでは、漢方薬による治療を開始したところ、1回の移植で心拍確認に至りました。これは、漢方薬が初期流産に対して有効であった可能性を示唆します。処方された芎帰調血飲は、補腎、活血、理気、健脾の作用があり、患者様の体質に合わせて生薬を加減することで、より効果的な治療が実現できたと考えられます。
薬剤師・国際中医師:田之上晃









