子宮筋腫患者に対する冠心Ⅱ号方製剤投与による腫瘍縮小効果に関する症例報告

1. はじめに

本症例は、さつま薬局における漢方相談で得られた、子宮筋腫患者に対する冠心Ⅱ号方製剤投与による腫瘍縮小効果に関する報告である。漢方薬による子宮筋腫治療効果は、これまで数多くの報告があるものの、そのメカニズムや有効性については、いまだ解明されていない部分が多い。本症例は、子宮筋腫の経過観察中に漢方薬を導入した結果、腫瘍が縮小したという点で、漢方薬の治療効果を示唆する貴重な事例と考えられる。

2. 症例

2.1 患者背景

  • 年齢:61歳
  • 性別:女性
  • 主訴:子宮筋腫を小さくしたい
  • 既往歴:高血圧症、喘息
  • 現病歴:5年前より子宮筋腫(8-10cm)を経過観察。高血圧に対してアムロジピン5mg、喘息に対してステロイド・β刺激薬の吸入薬を継続中。
  • 漢方医学的所見
    • 自覚症状:気圧が低いときに頭重感あり。食欲、睡眠、便通に異常なし。
    • 他覚症状:舌紫、時々弦脈
  • 治療経過
    • 漢方薬:冠心Ⅱ号方製剤(1ヶ月分約1万円)を1年間服用。その後、半量で継続。
    • 効果:漢方薬服用開始1年後に子宮筋腫が3cmに縮小。その後1年半経過しても、腫瘍の縮小は維持されている。

2.2 考察 本症例では、子宮筋腫と高血圧症という病名から冠心Ⅱ号方製剤を選択した。患者は自覚症状が乏しかったが、舌紫という瘀血を呈しており、高血圧症も併発していたことから、冠心Ⅱ号方の活血化瘀作用が奏功したと考えられる。漢方薬服用開始後1年で腫瘍が半分以下に縮小したことは、漢方薬の治療効果を示唆する。

3. 考察

本症例は、以下の点を示唆する。

  • 子宮筋腫の治療に漢方薬が有効である可能性。
  • 瘀血を伴う子宮筋腫に対して、冠心Ⅱ号方製剤が有効である可能性。
  • 自覚症状が乏しい場合でも、舌診などの客観的な所見から漢方薬を選択できる可能性。

4. 今後の展望

本症例は、一症例に過ぎないため、より多くの症例を積み重ね、漢方薬による子宮筋腫治療効果のエビデンスを確立していく必要がある。また、本症例で用いた冠心Ⅱ号方製剤の作用機序を解明するため、さらなる研究が必要である。

5. 結語

本症例は、子宮筋腫に対する漢方薬治療の可能性を示す貴重な事例である。漢方薬は、西洋医学では治療が困難な症例に対して、新たな治療選択肢を提供する可能性を秘めている。
(薬剤師・国際中医師:田之上晃)

 

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