来局時41歳 医学的な不妊の原因:なし
1人目を希望し1年
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法6ヶ月、人工授精4回

漢方による原因分析)
○腰痛、浮腫み、冷え性、夜間のトイレ、膀胱炎になりやすいなどから腎虚
○生理前の胸の痛み、排卵痛、生理痛、経血にレバー状の塊、慢性的な肩こり、しもやけなどから気滞瘀血
○肌・髪の乾燥、生理量が少ない期間が短い、生理が遅れがちなどから血虚
○胃腸が弱い、疲れやすい、浮腫み、吹き出物ができやすいなどから脾虚

方針)これまでに陽性がでたことない。ステップアップする予定なので、体外受精に向けて妊娠しやすい体づくりをする。

改善結果)
牡蠣肉・当帰製品・丹参製品で、補腎・活血・補血をしていく。
1ヶ月目、生理痛(++)。排卵痛・生理前のイライラや胸の張りは気にならなかった。
2ヶ月目、冷えや肌の乾燥が改善。生理痛はあったが先月より楽だった。
3ヶ月目、生理痛は少しだけ。経血の塊や生理前のイライラや胸の痛みはなし。排卵時のおりもの変化が分かるようになってきた。
4ヶ月目、採卵周期。採卵は上手くいったが、ホルモン剤の影響か採卵後の生理で酷い生理痛があった。冷や汗が出るほどの腹痛。
5ヶ月目、移植周期。睡眠の質も良く体調は良い。妊娠反応(+)。胎嚢・心拍確認。
6ヶ月目~出産まで、安胎処方を継続。
42歳で元気な男の子を出産されました。

考察)
便が緩くなりやすい、胃腸が弱いなど、脾虚のサインが多めの方でした。
漢方薬を飲み初めて、生理前の情緒不安定やイライラ、生理痛が徐々に改善。3ヶ月後には、以前はなかった排卵時のおりものの変化をしっかり感じられるようになりました。漢方では排卵時のおりものの変化は妊娠力に重要なサインです。
41歳の場合、体外受精で出産できる確率(※)は7.3%です。複数回治療している方も含むので、1周期当たりの確率はもっと低くなります。
相談者は1回目の体外受精で妊娠・出産できました。漢方で不調が改善し、自身の妊娠力を発揮することができたと思います。
(薬剤師 田之上顕子)

(※)赤ちゃんが生まれる確率のこと 2019年データより
参考)日本産婦人科学会https://www.jsog.or.jp/activity/art/2019data_202107.pdf

※40歳以上の方の妊娠例はコチラ