来局時27歳 医学的な不妊の原因:多嚢胞性卵巣症候群、高プロラクチン血症
1人目を希望し9カ月 1年前に自然妊娠するも流産。その後不妊治療を受けているが妊娠しない。
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法6ヶ月、人工授精1回、体外受精1回(初期胚と胚盤胞を各1個ずつ凍結)

漢方による原因分析)
○冷え、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、既往歴膀胱炎、短舌、初潮が平均より遅い・生理周期3~6か月などから腎虚
○末端冷え、頭痛、生理痛(++)、暗紅舌などから瘀血

方針)凍結胚盤胞を移植予定。稀発月経のため補腎を重点におき、激しい破血薬を使わずに活血して、病院の治療効果を高めていく。
牡蠣肉製品と煎じ薬の芎帰調血飲去白朮・茯苓・烏薬加丹参・白芍・女貞子・人参・蒲公英・黄耆で開始。
改善結果)
2カ月目、体調が良いとのことで同処方継続し、凍結胚盤胞移植。
3カ月目、妊娠反応陽性、胎嚢確認。流産歴があるため、流産予防で安胎薬を続けて、心拍確認。

体外受精・顕微授精と漢方を併用する場合、受精卵が着床しやすく、育ちやすい子宮を目指しながら、次の採卵に向けて卵巣が元気になるように体づくりをします。芎帰調血飲を基本にして生薬を加減していくと、妊娠や出産のための体のサポートができます。似た処方名で芎帰調血飲第一加減がありますが、こちらは妊娠したら使えない生薬が入っているため注意が必要です。