来局時の状況)

33歳 医学的な不妊の原因:なし
1人目を希望し3年6ヶ月
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法数ヶ月、体外受精5回、顕微授精2回
○他の薬局で勧められてクマザサエキス、たんぽぽ葉抽出エキスを2年間服用している。

漢方による原因分析)

○生理周期が短い、アトピー、耳鳴り、不妊期間、AMH0.54ng/mlなどから腎虚
○イライラ、寝付きが悪い、下痢と便秘を繰り返す、経血にレバー状の塊などから瘀血
○肌・髪の乾燥、動悸息切れ、生理量が少ない、不安な気持ちになる、めまい立ちくらみなどから血虚
○胃腸が弱い、疲れやすい、食後に眠くなるなどから脾虚

方針)これまで採卵7回して、体外受精・顕微授精で凍結胚移植を何度もしているが、一度も陽性がでたことない。凍結している最後の胚盤胞を移植する予定なので、着床しやすい体づくりをする。

改善結果)

牡蠣肉・当帰製品・丹参製品で、補腎・活血・補血をしていく。冷えもあるので、他の薬局より処方のクマザサエキス・たんぽぽ葉抽出エキスは中止してもらう。
1ヶ月目、睡眠の状態が改善し夢をあまり見なくなった。耳鳴り(+)。来月凍結している最後の胚盤胞を移植する予定。同処方を継続。
2ヶ月目、移植周期に内膜が厚くなりにくい方でしたが、8mm以上になり凍結胚移植。その後陽性反応、胎嚢確認。
3ヶ月目、心拍確認。出血が数回あり、漢方薬は流産予防のための安胎処方を続けてもらう。
4ヶ月目、妊娠13週。出血はなくなった。
引き続き安胎処方(当帰製剤・牡蠣肉製品)を継続し、元気な女の子を出産されました。

まとめ)

若い方ですがAMHが低く、3年前から計7回採卵し、何度か凍結胚移植しているものの結果が出ない方でした。
初回の相談時に、「何年も治療を続けて一度も陽性反応がでたことがなく、これ以上続けても上手くいく気がしないので、凍結している最後の胚盤胞を移植して妊娠できなかったら治療をやめようと考えている。」とおっしゃっていました。
問診の結果をみて、「もし今回がダメでも、体の状態をしっかり整えて治療をしていけば良い結果がでる可能性は十分あると思います」とお伝えしました。
しかし、ご本人が次の移植で治療は最後と決められていたので、「とにかくできることを頑張ってみましょう」とお伝えしました。

その後、漢方を服用して臨んだ最後の移植で、見事妊娠することができました。妊娠中も出血などありましたが、漢方薬を続けながら乗り越えられ、無事元気な女の子出産されました。
当初はご本人は半ば妊娠を諦めている状態からのスタートでしたが、良い結果となり嬉しいです。何年も治療して授からなかった場合でも、ほんの少し体の向きを変えてあげることで上手くいくことがあります。自分の妊娠力を引き出すために、自分に合った効果の高い漢方薬を選ぶことが大切だと思います。