来局時38歳 医学的な不妊の原因:なし 
2人目を希望し3年
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法2か月、人工授精3回。
漢方薬局にて芎帰調血飲第一加減・○○オイスター・バイオリンク・他症状により色々な漢方薬を服用していた。

漢方による原因分析)
○下半身の冷え、めまい、腰痛、耳鳴り、生理周期短い、AMH1.4(ng/ml)、年齢、高温期が短い、風邪・膀胱炎なりやすいなどから腎虚
○めまい、睡眠の質が悪い、足がつりやすい、動悸、生理痛や体調が悪くなる、血塊、舌下静脈怒張、舌暗紅などから血虚からの瘀血
○胃腸の調子が悪い、下痢しやすい、口内炎ができやすいなどから脾虚
方針)病院治療を休んで漢方でからだづくりをする。補腎・活血・補脾養血をして妊娠力を高める。

改善結果)
牡蠣肉製品と亀板膠製品と冠心Ⅱ号方と帰脾湯製剤。また積極的に期間短縮を希望なのでご主人も牡蠣肉製品と冠心Ⅱ号方を開始。と芎帰調血飲去烏薬加白芍・丹参・枳実・桂枝・麦門冬の煎じ薬30日分で開始。
2診、下痢続くので煎じ薬希望。奥様は牡蠣肉製品と芎帰調血飲去当帰・烏薬加鶏血籐・丹参・蓮肉・延胡索の煎じ薬30日分に変更。
3診、胃の調子は良くなった。下痢しやすいのは続いてるため、牡蠣肉製品と参苓白朮散去縮砂加鶏血籐・香附子・陳皮・益母草・丹参・補骨脂に変更。
4から7診、下痢の頻度が減ってきた。その他の症状に合わせて煎じ薬の生薬を加減、他薬は同処方継続。
8診、胃腸の調子・睡眠悪化、舌苔は薄だが、口苦・粘つきあるとのことで煎じ薬を千金方加味温胆湯加丹参・党人・五味子・熟地黄・遠志に変更、他薬継続。この周期に妊娠し、男児出産

考察)
病院治療中は妊娠できず、漢方薬で体を整えている期間に妊娠できたことから、不妊症に中医学的漢方運用が有用であると考えられる。基本処方を芎帰調血飲から益気健脾・滋補脾陰の参苓白朮散に変えた理由は、健脾作用をより高めるためである。そのため脾気虚が進行し脾気陰両虚にまでなっている場合は、参苓白朮散のような処方が有効である。
(薬剤師、国際中医師:田之上晃)