来局時37歳 医学的な不妊の原因:左卵管閉塞、潜在性高プロラクチン血症、AMH1.67、子宮内膜症
1人目を希望し6ヶ月
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法 1ヶ月 

漢方による原因分析)
○むくみ、低AMH、甲状腺腫、生理周期が短い、肌の色、年齢などから腎虚
○左卵管閉塞、子宮内膜症、生理痛、舌、基礎体温などから瘀血

方針)補腎を2段階で。第一に腎陰を補ったのち、腎陽に取りかかる。加えて活血化瘀。病院治療は継続。

改善結果)
煎じ薬と亀板膠製品を組み合わせて左帰丸合四物湯加香附子益母草の処方で開始。処方調整しながら継続。
7ヶ月後、初めての体外受精、初期胚1個、胚盤胞3個まで育ち1個胚盤胞を移植したが陰性。
10ヶ月後、子宮内フローラの検査でラクトバチルス菌が少ないことが分かり一貫堂竜胆瀉肝湯加益母草紫根と亀板膠製品を継続。
12ヶ月後、凍結胚移植予定のため安胎一号方加減を煎じ薬と製品で組むがすでに排卵していたため移植はキャンセル。
13ヶ月後、排卵が早まらないように党参を減らし補気目的に黄耆を加えて、ストレス対策で香附子を加えて凍結胚移植。妊娠陽性、1週間後に胎嚢確認。35歳以上で1人目のため安胎薬は補腎を重点にした処方で継続。

西洋医学的検査の結果を考慮しながら漢方薬を選んで体質改善をしていくことはとても重要です。体外受精をする前に漢方薬で体を整え妊娠力をつけられたことが、体外受精1回で成功に繋がったのだと思います。

来局時30歳 医学的な不妊の原因:潜在性高プロラクチン血症 一人目を希望して2年
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法4ヶ月

漢方による原因分析)
○足・下腹部の冷え、オリモノの変化(-)、子宮頸部異形成、アレルギー疾患、腎炎の既往、基礎体温、脈などから腎虚
○頭痛、生理前後のニキビ、感情の起伏、左卵管高度狭窄、生理痛、血塊、舌、基礎体温などから瘀血
○睡眠中目が覚める、口渇、ふくらはぎがつる、血流計から血虚

方針)補腎養血、活血化瘀の漢方と効果を高める養生法を提案。

改善結果)当帰製剤、丹参製剤、牡蠣肉製品、水蛭製品をD12から開始。病院の内診で卵胞はまだ小さい。普段生理周期が25~26日だが、D29でも高温期が続いていたため妊娠検査にて陽性反応。水蛭製品のみ中止。1週間後に胎嚢確認。以降安胎の処方を継続。

漢方薬を開始する以前の基礎体温は高温期への移行がダラダラと数日かかっていた。服用開始後すぐ高温期へスムーズな立ち上がり、その後安定した高温期が継続し妊娠した。この方は、排卵や卵管采による取り込みがリズムよく機能していなかったのかもしれません。漢方薬を多めに使うことで一気に妊娠のするための機能があがったことが短期間での妊娠に繋がったと思います。

妊娠力は総合力です。数年間不妊だった方が漢方薬を開始直後の周期に妊娠されるというのは、珍しくありません。全ての歯車がかみ合ってうまく機能し始めるとあっという間に結果が出ることもあります。

来局時41歳 医学的な不妊の原因:なし、AMH40代相応
1人目を希望し3年6ヶ月
○来局時の不妊治療歴:顕微授精3回 (4回胚盤胞移植のうち1回妊娠するが初期流産)

漢方による原因分析)
○体の冷え、手足のほてり、むくみ、腰痛、首筋のこり、疲労感、腎機能障害の既往、脈、基礎体温、年齢などから腎虚
○頭痛、肩こり、生理痛、おしりの痛み、舌、基礎体温などから瘀血
○口渇、肌の乾燥、目の疲れ、生理量が少ない、舌、脈から血虚
○食欲が一定しない、胸焼け、イライラしやすい、舌から肝鬱
方針)活血化瘀、補腎充精、疏肝の漢方薬をしながら、残っている凍結胚を移植するもしくは採卵して移植する予定。

改善結果)
煎じ薬と亀板膠製品を組み合わせて開始。体調、生理、基礎体温など少しずつ改善していく。
4ヶ月後、安胎一号加減の処方に変更し、以前の凍結胚盤胞を移植したが陰性。
5~11ヶ月後、六味丸料合補中益気湯加減と亀板膠製品を調整しながら採卵を2回し、グレードの良い胚が採れる。2回目の移植でhCGが2桁まで上がるが胎嚢確認できず。この頃には長年の悩みであったお尻の痛みが完全に消失した。
12ヶ月目、舌が赤く充血しておりホルモン剤が原因の虚熱と考え地骨皮、清肝と解毒の菊花を加える漢方薬で体を整えながら採卵し胚盤胞を凍結。
13ヶ月目、安胎一号加減にし、凍結胚盤胞移植⇒妊娠反応陽性、その後胎嚢確認。
14ヶ月目、安胎のための補腎と養血の漢方を継続。

年齢が40代で焦りがあると言われていましたが、それでもこつこつと体づくりを頑張って、漢方薬で13ヶ月かけて妊娠されました。
長年悩まれていたお尻の痛みがなくなったことで着床障害の原因となる瘀血が改善できたこと、卵の質を上げるために補腎を続けていたことが妊娠するためのポイントだと考えています。

来局時43歳 医学的な不妊の原因:子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、潜在性高プロラクチン血症
 1人目を希望し6年
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法24ヶ月、体外受精1回

漢方による原因分析)
○夜のトイレ、足のむくみ、腰痛、首筋のこり、採卵の個数が少ない、舌、基礎体温、希発月経、年齢などから腎虚
○子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、肩こり、ひどい生理痛、舌、脈、基礎体温などから瘀血

方針)漢方を3ヶ月続けてから体外受精をしたいと希望があり、採卵まで活血化瘀<補腎充精。採卵後には活血化瘀>補腎充精

改善結果)
煎じ薬は芎帰調血飲第1加減に鼈甲製剤を1日2包。毎月生薬を調整し3ヶ月後には生理痛が軽減。
4ヶ月目自然妊娠し胎嚢は確認できたが心拍が確認できず流産。「とても残念だけど自然妊娠できたことは嬉しかった。この調子で体づくりに取り組んでいきます」とのこと。
6~11ヶ月目流産から体の回復を良くして体力をつけるための処方を調整しながら継続。
12ヶ月目採卵しグレード1の胚を凍結
13ヶ月目凍結胚移植⇒妊娠反応(+)その後胎嚢、心拍確認。

年齢的に焦りもあったと思いますが、不妊治療のストレスを感じさせない明るく前向きな方で、あまり神経質にならずコツコツと継続して頑張られた成果がでて良かったです。

来局時28歳 医学的な不妊の原因:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、黄体機能不全、高プロラクチン血症 一人目を希望して1年
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法2ヶ月

漢方による原因分析)
○足の冷え・むくみ、腰痛、生理周期が遅れる、大学生の時2年間無月経だった、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、黄体機能不全、喘息、基礎体温などから腎虚
○頭痛、末端の冷え、経血の塊、イライラしやすい、右卵管狭窄、ひどい生理痛、脈、舌、基礎体温から瘀血
○頻繁にできる口内炎、厚舌苔胖大舌から脾虚体質
方針)養血化瘀、健脾補腎
肝腎を補い妊娠力をつける亀板膠・鼈甲膠と養血化瘀健脾で芎帰調血飲を基本処方で理気活血の延胡索を加え、益母草を増量。

改善結果)
1ヶ月後、真冬だが朝起きたときに体が温かくなっているのを感じる。同処方継続1ヶ月分。
5ヶ月後。転勤で県外に引越したため漢方薬を3ヶ月間中断していた。久しぶりの来局。基礎体温がギザギザと変動が大きく2層になっていない。不妊治療は休んでいる。35日目だが生理が来るか心配。咳も続いている。環境変化によるストレスと瘀血による無月経を改善するため折衝飲に疏肝の柴胡と肺気の鬱滞を除き下腹部の気の流れを整える桔梗を加えて1ヶ月分処方。それでも生理来ないときは病院受診するよう促す。
6ヶ月後。48日目に生理。生理痛少し。咳あり。ストレスで歯ぎしり。折衝飲に補腎陰の熟地黄麦門冬、疏肝で香附子、解鬱・涼血の川玉金を加える。
7ヶ月後。基礎体温が2層になる。喘息の薬は続けているが咳がでる。折衝飲合養陰清肺湯。
8ヶ月後。以前は3日間痛み止めが必要だった生理痛が1日程度になった。ニキビ、吐き気、基礎体温の低温期が高くなっているので少腹逐瘀湯に袪湿の平胃散。
9ヶ月後。生理痛半日程度。吐き気、咳治まっている。手の乾燥あり。養精種玉方加減。
10ヶ月目に自然妊娠、心拍確認。

医学的な不妊の原因となる病名を多く持っている方です。一時は生理も遅れがちで基礎体温も2相になっていませんでした。県外へ引っ越しで、環境変化によるストレスから体の状態がなかなか整わない時期もありました。こつこつ良いことを積み重ねて、自身の妊娠力を引き出し自然妊娠することがました。ストレスを処理する「肝」と生理痛の原因の「瘀血」を改善することで妊娠に繋がったのだと考えています。

3ヶ月の可愛い女の子です。ご家族で遊びにきてくれました!
漢方で体づくりを頑張られて無事に出産されました。
出産は大変だったようですが、産後のお母さんの体調も良いとのこと。
初めての育児で大変だと思いますが、元気に子育てを楽しんでいただきたいです。

元気よく泣く赤ちゃんの声、とても可愛くてこちらも元気が出ます。

来局時34歳 医学的な不妊の原因:なし
不妊期間5年 一人目
○来局時の不妊治療歴:なし

漢方による原因分析)
○冷え、むくみ、疲れやすい、顎のニキビ、基礎体温などから腎虚
○頭痛、生理痛、感情変化、基礎体温、舌などから瘀血
○便通4日に1回で硬い、目の疲れ、肌の乾燥などから肝血虚

方針)病院の検査では異常なし。漢方で体づくりをして妊娠をめざす。活血化瘀、補腎充精、補血

改善結果)
亀板膠製品と芎帰調血飲加白芍を服用開始。
1ヶ月目、生理痛なくなる。便通2日に1回に改善。高温期が綺麗になる。腎陽をさらに高めるため肉従蓉追加
2ヶ月目、基礎体温2層になってきた。低温期が変動するため牡丹皮を滋腎陰の女貞子に変更
3~9ヶ月目、体調により活血薬を益母草から丹参に変更など途中微調整
10ヶ月目、不妊治療専門の病院で再度検査を受けたところ、子宮内膜炎の診断、抗生剤による治療を受ける。その直後の周期で妊娠し胎嚢・心拍確認。

20代後半から不妊期間5年。化学流産も一度もなく少し焦っているものの、できるだけ自然な形での子宝を授かりたいと希望されていました。漢方薬を始めた直後から基礎体温とくに高温期が安定し、生理痛・便秘など不調も改善し、10ヶ月で自然妊娠されました。

来局時38歳 医学的な不妊の原因:高プロラクチン血症、排卵障害、右卵管閉塞
1人目を希望し2年5ヶ月
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法1年6ヶ月、人工授精3回

漢方による原因分析)
○冷え、疲れやすい、年齢、基礎体温、舌、尺脈弱などから腎虚
○末端の冷え、卵管閉塞、感情変化、基礎体温、舌などから瘀血
○便通2日に1回、以前クロミッドで便秘になり薬が変更になった、血流計での面積が小さいなどから肝血虚

方針)漢方で体づくりをしながら病院治療を継続。活血化瘀、補腎充精、補血養肝

改善結果)
亀板膠、丹参、当帰製品を服用開始。
1ヶ月目、漢方開始前はザクザクと変動が大きく高温期がわからない状態の基礎体温だったが、漢方薬を始めてすぐに基礎体温が綺麗になりはっきりと高温期がでるようになる。生理前の頭痛はあったが下腹部痛は無くなる。
2ヶ月目、久しぶりに排卵誘発剤(クロミッド)を使用するとのことなので副作用予防で当帰製剤を増量して対応する。
3ヶ月目、プロラクチン値改善のためカベルゴリン中止。以前はあったクロミッドでの便秘など副作用が今回はなかった。クロミッド継続使用で人工授精し妊娠反応陽性、胎嚢確認。

比較的早く3ヶ月で妊娠できました。過去に人工授精を3回失敗しており、次駄目だったら体外受精を検討しようという段階で来局されました。人工授精での妊娠率は回数が増えるほど低下しますが、今回のように病院の治療を継続する場合でも漢方薬を組み合わせて体を整えれば同じ治療でも妊娠しやすくなると実感しました。「漢方薬を始めて本当に良かったです!」といって頂いて私も感謝いたしました。

男性の不妊症に対しては、有効な西洋医学的治療法が確立されていません。
男性不妊の場合、これといった自覚症状もなく、病院からの漢方薬を服用されていらっしゃる場合もありますが、ほとんどの方は効果を実感していません。

ですが、これまでの経験から漢方は男性不妊と相性が良いと思います。
ただし、その方に合った効果の高い生薬を選んで使うことが重要です。
精子濃度・運動率を改善したいということであれば、比較的短い期間で数値を改善できる場合が多いと思います。
男性の場合、女性の妊娠のメカニズムほど複雑ではないので、費用も女性に比べると少ないことがほとんどです。

【35歳精子濃度・運動率が低く、顕微授精を3回するが上手くいかない】

なるべく短期間で成果をだす為には、積極的に動物性生薬を使用します。
この相談者には、中国で生殖機能減退改善に使用される漢方を日本人の体質に改良した漢方薬を服用してもらい、加えて生活上の養生をアドバイスをしました。
約2ヶ月後に再検査したところ、
精子濃度⇒約5倍
運動率⇒約3倍
に改善しました。
その後の顕微授精でグレードの良い受精卵ができ、妊娠されました。

 

来局時36歳 医学的な不妊の原因:右卵管閉塞、AMHが低い(1.4ng/ml)、高プロラクチン血症
1人目を希望し3年1ヶ月
○来局時の不妊治療歴:人工授精5回、体外受精2回、顕微授精1回

漢方による原因分析)
○冷え、耳鳴り、顎のニキビ、髪の色艶、アレルギー性鼻炎、低いAMH、基礎体温、舌、脈などから腎虚
○手足の冷え、卵管閉塞、頭痛、軽い生理痛、基礎体温、舌などから瘀血
○食後の膨満感、軟便、アレルギー性鼻炎、舌、脈から脾虚

方針)漢方で体づくりをしてから体外受精をする計画。活血化瘀、補腎充精、補気健脾。

改善結果)
芎帰調血飲加黄耆の煎じ薬、亀板膠製品を服用開始。
生理前の頭痛はあったが下腹部痛は無くなり改善が見られたので、しばらくは体外受精せず体づくりを続けることにする。3ヶ月後から牡蠣肉エキスを追加。
6ヶ月経過し生理の状態は改善したが、基礎体温や生理前の不正出血が改善せず。生薬を調整しながら様子をみるが一進一退の状態だったので、9ヶ月目に煎じ薬の処方を全般的に見直し、補気と補血の効果が強い処方に変更する。十全大補湯加香附子女貞子補骨脂丹参と動物製剤を継続。徐々に不正出血のない周期がでるようになり、基礎体温が綺麗になってきた。
12ヶ月経過した時点で体外受精を再開。採卵結果はグレード1⇒2個、グレード2⇒1個を凍結。
胚移植に備えて、着床しやすく育てる力のある子宮にするため、煎じ薬は人参⇒党参、桂皮⇒桑寄生に変更し2ヶ月継続。その後2個凍結胚移植し妊娠反応陽性。なんと2個とも着床しており、そのまま胎嚢・心拍確認できた。

来局以前から複数回体外受精をされているが、一度も妊娠反応陽性がでたことのない方でした。1年かけて漢方薬で体づくりをして、体外受精を再開し無事妊娠となりました。生理の状態はすぐ改善でき体調も全般的に良くなったのですが、緩くなりやすい便や生理前の少量の出血や基礎体温表の形が改善しにくかった例です。
不正出血の病因病機は、湿熱内温、脾不統血、腎陰虚、瘀血内留などがあります。最初は胃腸機能の低下から脾不統血、冷えは自覚なく他覚的だったため腎陰虚から高温期に潜陽できず出血したと分析しました。期間がかかりましたが、自分のホルモンの力で基礎体温表が綺麗になってから不妊治療を受けたことが授かる為のポイントであったと考えています。