来局時43歳 医学的な不妊の原因:卵巣嚢腫、子宮筋腫、AMH0.609ng/ml
1人目を希望し6ヶ月
○来局時の不妊治療歴:体外受精1回、顕微授精1回(2回とも卵子に問題があり移植に至らず)

漢方による原因分析)
○むくみ、低AMH、年齢、脈、体外受精、顕微授精で受精卵できないなどから腎虚
○卵巣嚢腫、子宮筋腫、舌などから瘀血
○夜間の中途覚醒、胃痛、舌などからやや肝の疎泄機能低下

方針)自然周期体外受精の成功率を高めるため、補腎と活血を主に。舌苔が厚く食べ過ぎる傾向にあるためまずは食積をとる。

改善結果)
煎じ薬と亀板膠製品を組み合わせて左帰丸合四物湯加香附子丹参山査子陳皮半夏の処方で開始。
1ヶ月目の体外受精で受精卵が育ち移植するも陰性だったが、初めて移植まで進めたので本人は漢方の効果を実感され喜ばれる。
2~6ヶ月、漢方薬は山査子・半夏を抜いて党参・酸棗仁など加えたり、シベリア霊芝など使ったりし、自然周期体外受精を2回行い胚盤胞を凍結。
7ヶ月後、凍結胚移植、妊娠陽性→胎嚢確認。流産予防の安胎薬を継続。その後、心拍確認。→妊娠時は44歳、その後45歳で元気な女の子を出産されました。

この相談者は、以前薬局を経営されていたという自身の母親から「不妊治療するなら漢方も一緒に飲んだ方がいいよ」と強く薦められて来局されました。来局前に2回の自然周期体外受精をしていましたが卵子に問題があり移植まで至らない状況でした。漢方で体づくりに取り組んで少しづつ先に進むようになり、半年かけて良い結果につながりました。年齢が高い方やAMHが低い方の場合、本来の機能を抑制し過ぎないように採卵する自然周期体外受精と、本来の妊娠力を引き出す漢方薬との相性がいいのではないかと思います。

来局時39歳 医学的な不妊の原因:多囊胞性卵巣症候群、排卵障害
2人目を希望し2年2ヶ月
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法17ヶ月、人工授精7回、体外受精1回 

漢方による原因分析)
○冷え、ほてり、腰痛、首筋のこり、耳鳴り、多囊胞性卵巣症候群、年齢、基礎体温などから腎虚
○肩こり、暗紅舌、舌下静脈怒張、基礎体温などから瘀血
○安静時の疲労感、目の調節障害、イライラしやすい、弦脈から肝鬱
方針)病院治療を続けながら体づくりを希望。数ヶ月したら体外受精予定。疏肝化瘀、補腎充精でストレス耐性を高めて妊娠力をつけていく。

改善結果)
煎じ薬で芎帰調血飲加丹参白芍と亀板膠製品を組み合わせて開始。体調、生理、基礎体温など少しずつ改善していく。
4ヶ月目、軟便のため煎じ薬の当帰を鶏血籐に変更し潤性のない補腎薬女貞子を加える。ショート法にて15個採卵でき、顕微授精にて10個の受精卵ができ、そのうちグレードの良い胚盤胞を2個凍結。
5ヶ月目、育児休暇が終わり仕事復帰したところ、体力・精神面ともにきつく、軟便や下痢が続く。煎じ薬を中止し、牡蠣肉製品、鹿茸製剤、帰脾湯の製品の組み合わせに変更する。
6~15ヶ月目、仕事量が多く、ストレスが大きくかかる状態のため、処方を調整しながら、体調を整えることに専念。
16~20日ヶ月目、一人目はタイミングで授かったのでできれば自然妊娠を希望し、タイミングや人工授精を続ける。軟便・下痢気味ではあるものの体の状態は徐々によくなり、以前より仕事の疲れが残らなくなっている。
21ヶ月目、体調が安定しており次周期で凍結胚移植をすることに。牡蠣肉製品、霊芝製品、丹参製剤、生脈散を服用。
22ヶ月目、同処方継続。凍結融解胚盤胞移植。妊娠陽性反応、その後胎嚢・心拍確認。出産まで、流産予防の安胎処方を継続。

相談者は体づくりを始めてまもなく仕事復帰されました。上の子供の育児に加え、仕事量の多さ・ストレスで、一時は心身のバランスを崩してしまいとても心配しました。漢方で徐々に余力のある状態になっていき、基礎体温表も綺麗になりました。結果的に1回の凍結胚移植で妊娠できました。
女性がフルタイムでの仕事をされながらの二人目不妊の場合、仕事や育児に忙しく余力のない状態になっている方は少なくありません。二人目不妊の主な原因は、年齢的な問題だけでなく一人目の出産育児で消耗している場合が多く、漢方薬で体を整えることで本来の妊娠力をとりもどすことができます。

来局時41歳 医学的な不妊の原因:AMH0.64ng/ml、子宮筋腫
1人目を希望し1年9ヶ月
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法3ヶ月、体外受精4回(1回目に妊娠するが8週で流産、その他は移植できるまで育たなかった)

漢方による原因分析)
○冷え、むくみ、夜中トイレに毎日起きる、低AMH、年齢、基礎体温、採卵で空胞が多く受精卵も育たないなどから腎虚
○無苔紅、子宮筋腫、舌下静脈怒張などから瘀血
○夜間の中途覚醒、食欲亢進、便秘、生理前のイライラ、無苔紅舌などから陰虚(やや肝鬱化火傾向)

方針)体外受精の成功率を高めるため、補腎と活血を主に。補陰をメインにしながら疏肝をしていく。

改善結果)
煎じ薬と亀板膠製品を組み合わせて左帰丸合四物湯加茯苓・牡丹皮・香附子・丹参・川玉金の処方で開始。
2ヶ月目、クロミッド法で採卵するが空胞。イライラは改善している。便秘も改善してきているがまだ硬い。低温期が高めなので滋陰清熱を高める。茯苓・香附子・川玉金を知母・女貞子・何首烏に変更。
3~6ヶ月目、漢方薬続けながらカウフマンを2周期して採卵するが受精せず。自然周期体外受精の病院に転院する。
7ヶ月目、補陰を6ヶ月してきたので次の補陽を強化していく、亀板膠製品と牡蠣肉製品に煎じ薬は八珍湯加桂皮・附子・肉従蓉・何首烏・女貞子。自然周期体外受精で3日目の初期胚を凍結。
8~13ヶ月目、漢方薬を調整して、できる周期は採卵して4BCの胚盤胞を2個凍結。
14ヶ月目、牡蠣肉製品とシベリア霊芝製品と煎じ薬は八珍湯加丹参・黄耆・香附子・肉従蓉・菊花で移植に向けた体づくりをする。凍結胚移植→陰性。
15ヶ月目同処方を続けて凍結胚移植し、妊娠陽性→胎嚢確認。その後心拍し、流産予防の安胎薬を継続。

来局以前に、体外受精で妊娠したが流産し、それ以降は採卵が上手くいかない方でした。
漢方薬で体づくりをして採卵がうまくいくようになり、胚盤胞を複数個凍結できました。また、移植にむけて漢方薬で子宮環境を整え、無事妊娠されました。
年齢が高い方やAMHが低い方には、本来の機能を抑制し過ぎないように採卵する「自然周期体外受精」と、本来の妊娠力を引き出す「漢方薬」との併用は、とても相性がよいと思います。

来局時36歳 医学的な不妊の原因:右卵管閉塞、左卵管狭窄
2人目を希望し4年
○来局時の不妊治療歴:顕微授精2回

漢方による原因分析)
○冷え、白髪、基礎体温などから腎虚
○ひどい便秘、生理前から乳房や下腹部が張って痛い、生理痛、経血の塊、卵管閉塞、基礎体温などから瘀血

方針)2人目を希望してから3回移植して2回妊娠して流産しているため、流産しにくくなるように、活血化瘀、補腎充精で体づくりをしてから凍結胚を移植する。

改善結果)
牡蠣肉・亀板膠・丹参・当帰製品を服用開始。
2ヶ月目、便通がやや改善。便秘がひどく病院からの酸化マグネシウム(緩下剤)を服用していたが錠数が減った。子宮内フローラの結果も悪く、病院からのサプリメントを併用してる。緩下剤を服用しなくてもよい状態を目指す。処方は当帰製品を2.5倍に増量。
4ヶ月目、便通やや改善するもまだ緩下剤が必要、子宮内フローラ・ラクトバチルス菌が0.1→13%に改善するがまだ少ない(90%以上で妊娠率や出生率が改善する報告あり)。当帰製剤を3.75倍量に増量して3ヶ月継続。
6ヶ月目、便通が改善しないため、当帰製剤を5倍量に増量。
7ヶ月目、便通が改善し、緩下剤不要となる。また、子宮内フローラ・ラクトバチルス菌が13→99.8%に改善(90%以上で妊娠率や出生率が改善する報告あり)。次周期に凍結胚移植予定となる。
8ヶ月目、移植予定であったが体調を崩し延期となる。同処方を継続。生理が来ないため受診したところ、自然妊娠しており胎嚢を確認。流産予防のため漢方継続し、その後心拍確認。

以前にさつま薬局の漢方で妊娠された方からのご紹介で来局されました。採卵は問題なくできるものの、移植で流産を2回経験されていました。そのため、治療を続ける前に体を整えようと漢方を始められました。卵管閉塞があり、一人目も体外受精だったので、産婦人科の先生から「自然妊娠できたのは奇跡だ」と言われたとのこと。私達もとても驚きました。体外受精であっても、自然妊娠と同じく余力のある体の状態を目指すことが大切です。余力がある体とは漢方的にバランスのとれた健康な状態です。本来は卵管が塞がって体外受精・胚移植が必要なはずですが、漢方で余力がある状態を作ることで通りにくい卵管が改善され自然妊娠できることを示唆している症例です。

 

来局時39歳 医学的な不妊の原因:卵巣嚢腫、潜在性高プロラクチン血症、AMH0.34ng/ml、卵巣機能低下(FSHが高い)
1人目を希望し4年
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法6ヶ月、人工授精1回、顕微授精2回

漢方による原因分析)
○体の冷え、足のむくみ、腰痛、首筋のこり、膀胱炎になりやすい、採卵の個数が少ない、舌、基礎体温、年齢などから腎虚
○頭痛、肩こり、ひどい生理痛、舌、基礎体温などから瘀血
○よく汗が出る、胃がもたれる、便秘、疲れやすい、目の疲れ、子宮内膜が薄い、舌、脈から気血両虚

方針)漢方をしばらく続けてから顕微授精をする計画。活血化瘀、補腎充精、補気養血。

改善結果)
漢方製品を組み合わせて服用開始。まもなく生理時に鎮痛剤を飲まないで過ごせるようになる。
6ヶ月後、1回目の採卵。8分割胚(グレード2~3)を1個凍結。
8ヶ月後、脈弱が改善されないため煎じ薬(種子方加減)と亀板鼈甲製品に切り替える。
10ヶ月後に凍結胚移植⇒陰性。
13ヶ月後、2回目の採卵。1個採卵でき授精したが分割が止まる。動物性生薬を紫河車製品と牡蠣肉製品に変更。ご主人も漢方薬の服用を始める。
16ヶ月後、3回目の採卵。2個採卵でき8分割胚(グレード1)と胚盤胞(4BC)を凍結。AMHが低いのでひき続き採卵することに。
19ヶ月後、4回目の採卵。1個採卵でき授精するも分割停止。採卵は中止して移植をすることに。
22ヶ月後、凍結胚移植⇒妊娠反応陽性、その後胎嚢心拍確認。
23ヶ月~出産まで、流産予防の安胎処方を継続。→男の子を出産されました。

30代から数年間不妊治療をして、40歳になるタイミングで漢方薬を始められました。来局以前から顕微授精をされていましたが、AMHが低く、採卵が難しい状況でした。年齢やAMH低いなどで焦る気持ちもあったと思いますが、地道にこつこつと体づくりを頑張って、漢方薬で22ヶ月かけて無事妊娠されました。悪い条件ながら諦めずに努力を続けた結果です。
AMHが低い場合でも、体を整え自身の妊娠力を上手に引き出してあげることで、限られたチャンスを活かすことが大切だと思います。

来局時31歳 医学的な不妊の原因:特にない、不育症の検査も異常ないが、やや双角子宮である
不妊期間2年2ヶ月 一人目
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法5ヶ月

漢方による原因分析)
○冷え、むくみ、疲れやすい、基礎体温などから腎虚
○頭痛、生理痛、感情変化、基礎体温、舌、便通2,3日に1回、血流計などから血虚による瘀血

方針)病院治療の前に2回妊娠して2回とも早期流産しており、生理痛や頭痛で月10回程度鎮痛剤を飲んでいるので、まずは活血化瘀を中心に補腎充精をしていく。病院治療は休んで体づくりでの妊娠を希望。

改善結果)
亀板膠製品と折衝飲の基本処方に加減した煎じ薬を服用開始。
1~3ヶ月目、鎮痛剤の服用回数が半減(月5回程度)。その他の不調も改善しているので、補腎疏肝にポイントをもっていく。延胡索を中止し、党参・香附子を追加。亀板膠製品を牡蠣肉製品に変更。
4ヶ月目、頭痛で鎮痛剤を服用することもほとんど無くなったので、より活血から補う方向とする。桃仁・紅花・赤芍から茯苓・生姜・大棗・桂枝・白芍に変更。2週間後妊娠陽性反応。その後、順調に胎嚢・心拍確認。流産予防の安胎薬を継続。⇒元気な女の子を出産されました。

5ヶ月の病院でのタイミング療法治療で妊娠しなかったのに、漢方薬で体づくりをして妊娠できたことに本人はビックリされていました。
また、2回妊娠しても8週と9週で流産していたため本人は赤ちゃんが産めないのではと不安だったようです。妊娠後も漢方薬を続け過去の週数を超えて21週目に改めて「漢方薬のおかげ」と話されてました。
2回連続の流産から反復流産や不育症に入ります。双角子宮も不育症の原因になり、漢方薬で子宮の形態を変えることは出来ませんが女性が本来持つ妊娠を継続するための力を引き出すことで流産を防ぐことが出来ると考えています。
原因不明不妊の場合、漢方薬で妊娠する方向に体を整えることが大切です。漢方薬は毎日続けていくことで少しずつ妊娠するための体力をつけていきます。そのため、妊娠力が不足して原因不明不妊となっている場合は、最適な漢方薬と養生で体を変えていくのが一番の近道です。→元気な女の子を出産されました。

来局時34歳 医学的な不妊の原因:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、潜在性高プロラクチン血症 一人目を希望して3年
○来局時の不妊治療歴:なし

漢方による原因分析)
○足のほてり、冷え、腰痛、夜中のトイレ、生理周期が遅れる、基礎体温、脈などから腎虚
○口渇、経血の塊、イライラ、脈、舌、基礎体温から瘀血
○足のほてり、口渇、食べ過ぎ、イライラ、蕁麻疹などから陰虚傾向

方針)養血化瘀、補腎(先に補陰)
肝腎を補い妊娠力をつける亀板膠・鼈甲膠と折衝飲加香附子益母草の煎じ薬。

改善結果)
1ヶ月目、漢方服用4日目で生理周期23日目に生理が始まる。前回の生理量が少なく基礎体温も一層なので不正出血の可能性。婦人科の受診を勧奨。多嚢胞性卵胞症候群(PCOS)・潜在性高プロラクチン血症と診断される。
2~12ヶ月目、病院治療をインターバルで併用しながら漢方薬を調整していく。
13ヶ月目、自力で排卵できるようになっていたので、動物生薬を牡蛎肉製品に変更、その後妊娠陽性反応、胎嚢確認(双子の赤ちゃんでした)。

中医婦人科の基本アプローチである基礎体温を2相にすることを目標として、多嚢胞性卵胞症候群(PCOS)で生理周期が遅れるため排卵誘発剤を併用しながら体づくりをしていきました。ご主人が単身赴任中でタイミングがとりずらい不利な環境もあり、体外受精を検討されていましたが、結果的に体外受精をせずに授かることができました。
少し期間が長くなりましたが、ストレスを処理する「肝」と生理痛の原因の「瘀血」を改善し、自身の妊娠力を引き出せたことで妊娠に繋がったのだと考えています。→双子の男の子を出産されました。

来局時35歳 医学的な不妊の原因:潜在性高プロラクチン血症 一人目を希望して1年5ヶ月
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法5ヶ月

漢方による原因分析)
○冷え・むくみ、耳鳴り、排卵前オリモノの変化がない、基礎体温などから腎虚
○頭痛、末端の冷え、動悸、感情面、舌、基礎体温から肝鬱瘀血

方針)養血化瘀、補腎
病院治療の効果を高めるための体づくり希望。肝腎を補い妊娠力をつける亀板膠製品と養血化瘀疏肝で芎帰調血飲を基本処方で安神活血の丹参を加える。

改善結果)
1~12ヶ月目、基礎体温と体調を見ながら煎じ薬を調整し継続。パートナーの精子数が少なく運動率が悪いため人工授精を数回試みるも陰性。
13~14ヶ月目、動物生薬を牡蠣肉製品に変更、煎じ薬を調整がながら継続。
15ヶ月目、人工授精で妊娠反応陽性、胎嚢・心拍確認。

パートナーの精子数や運動率に問題があり、人工授精が必要なご夫婦でした。ご主人も漢方薬を飲んでいただきました。医師からは人工授精では厳しいかもと言われていましたが、体外受精をすることなく妊娠できました。期間かかりましたが、夫婦2人で協力して漢方薬で体づくりすることで妊娠に繋がったのだと考えています。→元気な男の子を出産されました。

来局時34歳 医学的な不妊の原因:なし
2人目を希望し1年1ヶ月
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法7ヶ月、人工授精4回

漢方による原因分析)
○足の冷え、足のむくみ、疲れやすい、経血量少ない、肌の乾燥、口渇、便秘、寝汗、舌苔無、基礎体温などから腎虚(陰>陽)
○冬の手先の冷え、経血の塊、生理前のイライラ、舌、基礎体温などから瘀血

方針)漢方で体づくりをしてから体外受精をする計画。活血化瘀、補腎充精、午前中胃もたれや舌苔無のため健脾と一人目の時は高プロラクチン血症のためカバサールで自然妊娠したとのことなので疏肝も少し足す。

改善結果)
芎帰調血飲加白芍竜眼肉人参鶏血籐の煎じ薬、牡蠣肉製品を服用開始。
2ヶ月目、便まだ硬いため当帰増量、地骨皮を加える。
3ヶ月目、便通、寝汗改善してきたので同処方継続し、ショート法で採卵し2日目の新鮮胚移植にて陽性、その後胎嚢確認。
また、採卵した15個うちの13個が体外受精と顕微授精にて受精し、使用しなかった卵のうちAAを含めて4BB以上の良好胚盤胞を8個凍結した。

 

舌暗紅無苔で陰虚が強いため通常人参ではなく党参を使用するが、舌裏は淡紅であったのと寒い時期であり足の冷えがあったため、一緒に使う牡蠣肉との相性も考慮し人参を選薬した。また人参による陽の上亢を防ぐため健脾作用もあり心血を養う竜眼肉を加えていたが、症状から結局陰虚熱を冷ます地骨皮を加えることで体のバランスが改善された。比較的短期間の漢方薬の使用ではあったが、受精卵から胚盤胞まで到達する割合やグレードの良い良好胚の割合が高いことから、体外受精・顕微授精の治療効果に漢方薬が寄与している思われる。今後も舌診では表と裏の色、処方では生薬同士の効果を高めたり、副作用を防ぐ対薬を選び科学的な漢方薬の使い方を追求したいと思います。

来局時43歳 医学的な不妊の原因:高プロラクチン血症、
2人目を希望し6ヶ月
○来局時の不妊治療歴:タイミング療法2ヶ月、体外受精2回、顕微授精1回(3回目の凍結胚移植で妊娠するが心拍停止)

漢方による原因分析)
○冬場の足の冷え、腰痛、年齢などから腎虚
○子宮内膜ポリープ(切除済み)、紅紫舌などから瘀血

方針)漢方で体づくりをしてから凍結胚移植をする予定。体質を判断するための所見がは少ないが、体外受精などで使用するホルモン剤など生じやすい瘀血を排除し、消耗した腎精を補充し陰陽のバランスを整えることで移植は胆への子宮の適応力を上げ妊娠率の改善を目指す。

改善結果)
芎帰調血飲加白芍・三稜・莪朮・桂皮の煎じ薬、牡蠣肉製品と紫河車製品を開始。
3ヶ月目、以前より疲れにくく過ごせているが軟便がつづいているため三稜・莪朮など活血薬を減らし、黄耆・人参・山薬・補骨脂など健脾補腎陽薬追加して継続。
5ヶ月目、移植前の周期で牛膝・紅花を追加。
6ヶ月目、煎じ薬は十全大補湯減当帰去地黄加枸杞子・杜仲・続断・補骨脂・香附子。便が緩くなりやすいので地黄の代わりに枸杞子、当帰を1gに減らした。服用3週目に凍結胚移植。
7ヶ月目、判定前。着床障害を防ぐため活血薬の丹参を少量追加。妊娠陽性反応、その後胎嚢確認。

初診時、脈は有力の遅脈であった。この場合証は実寒証であることが多いのだが、相談者は実寒証を示す所見がなく、真逆の証の傷寒論陽明病かといえば胃実熱である症候の便秘や手足の多汗もないため、脈証以外で判断していった症例であった。高強度の運動をしているわけではないのでスポーツ心臓も考えにくく、気滞血瘀により気の推動作用が抑えられたことによる遅脈と考えた。不快な体調は余りない方でも瘀血を改善する生薬を使うことで、高齢でも妊娠できたことから、凍結胚移植においても活血薬を適切につかうことで妊娠率の改善が見込めると考える。